おしどり夫婦 6
あまり甘い物は食べない父さんが、プリンを食べるなんて…珍しい。
母さんの実家である、櫻井家から届けられたから…
という理由もあるのだろう。
ん?でも、このプリン、あまり甘くないな…大人の味というか…
僕のがゴマプリンのせいもあるだろうけど…これなら、父さんでも食べれそうな味だ。
流石、櫻井のお婆ちゃまだ…、
ちゃんとそんな事も考えて送ってくれたのだろう。
暫く皆でワイワイと食べていたら、
隣に座っている、妹の真衣が…
「政紀お兄ちゃま…、少しだけゴマプリンを味見させて下さい。」
と言って来た…
それを聞いた母さんが…
「全部、味が違いますし…お互いに味見をしましょうか?」
とニコニコと尋ねて来る。
「「「…うん!」」」
と、三人で同時に答える。
一旦、全員…食べるのを止めて、母さんに渡す。
5つの少し大き目のお皿を用意して…
スプーンで、各自のプリンを取り分けて、お皿に盛って行く母さん。
横から父さんが…
「僕は、あまりいらないから…多く取って。」
と声をかける。
それに対して「はい。」と答えつつ、
僕達、子供達には…父さんのプリンを多めに入れた。
そして、母さんのかぼちゃプリンも…かなり多めに、僕達のお皿に盛られた。
そして、再び…
「「「いただきます。」」」
僕等は、それぞれの味を早く食べたくて、スグに食べ始める…。
それを嬉しそうに見ている母さんは、満面の笑顔だ。
そこまで見ていた、父さんは…
母さんのお皿と残ったかぼちゃプリンの量を見て…
「それじゃあ、君の分が殆どないじゃないか。」
「私は、…これで充分ですよ。」
「君、プリンは好きだったろ?」
「…?…。…はい、好きですよ?」
「じゃあ、これ…優子にあげる。」
「全部食べて良いから。 僕は、このお皿の方だけ頂くよ。」
「…え? …でも、それじゃあ…」
「良いから、食べなよ。」
そう言って、母さんに…自分の分である、普通のプリンの方を渡し…
自分は…
それぞれの分を味見するために、お皿に分けた方だけを取り、食べ始めた。
母さんは、とっても嬉しそうに微笑んで…
「恭弥さん、…有難うございます。」
と、ニッコリ笑顔。
そして、実に幸せそうに…
嬉しそうに、父さんから貰ったプリンを食べている…。
それを見ている父さんも、僅かな笑顔だ。
さっきまで感じていた、微妙な不機嫌さが完全になくなり、ご機嫌なのが良く解る。
…………。
……それにしても……
…いや、…あの、……何なんだ、コレ…。
この甘い雰囲気…。
僕等、無視?
いや、母さんは無視はしてないけど…。
僕等なんか、居ないかのように…ラブラブじゃないか!
まるで新婚夫婦のようだな…なんて思いつつ。
少々…呆れて見た。
(隣の拓弥も、同じ事を思っているらしい…眉間に皺が寄っている…ι)
まぁ、何時もの事なんだけどね…。
仲が良いのは、良い事だと思うけどさ…。
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