帰港地 19
翌日…朝、起きると…
雲雀さんがプライベートで使用している、広めの和室のひとつに…
何時、何処から取り寄せたのか…
沢山の“ブライダル雑誌や本”が…とても沢山、積み上げられていた…。
（たった一晩の間に…こんなに用意したの！？）
『草壁さん、大変だっただろうな。…有難うございます。』
と、何時も何時も…
本当に多大なお世話になっている草壁さんに…心の中で、お礼を言った。
朝食や他の家事を済ませてから…お茶を飲みつつ
その雑誌を、パラリと捲り、何気なく眺めて見る…
どのページにも夢一杯、愛が一杯で…何とも幸せな気持ちになる。
結婚を目前にした…
この高揚感は“遠足が楽しみ”なんていうモノとは違い…
今後の生活への不安やワクワク感、
他にも色々な感情がゴチャ混ぜになって、
…とても複雑な感情。
（マリッジブルーなんて言葉がある程だしね）
今まで自分が育った家庭とは、
“似ているようで違う文化”を持つ相手と一緒になる事は、
何も国際結婚でなくても、
日本国内であってもある問題というか試練でもある訳で…
想像しているよりも…実際は大変な事が多い。
私は、既に一緒に暮らしているのだから…
その部分については経験済みだし…
相手が雲雀さんだから…
私が合わせる以外の選択肢がなかったのだけど…
そう割り切っていても、最初は、それなりに大変だった。
自分が、半ば強引にココに連れて来られてからの…
慣れない内の１．２年の事を懐かしく思い出しつつ、雑誌に載っている
これから結婚するカップルや、新婚カップルの悩み事相談の記事を見つつ、
つい…『皆さんも頑張ってね！』と心の中でエールを送っていた。
ここで多くの人が…訴えているように、
文化や食生活、各種習慣の違いや…小さな日常的な相違は勿論、
結納や、結婚式、一緒に暮らす場所等の詳しい内容を決めようとする段階で既に、
感じる事だから、当然…今後の事が不安になったりもするよね…
うん…それで…普通の事だよね。
ただ、何のかんのと…総じて、楽しみで嬉しい事には変わりない。
何と言うか…不安は不安としてあるけれど…
『愛しい人と、この先の人生を一緒に歩む事が出来る喜び』
…のほうが勝っている、という感じ。
今後の生活に…様々に思いを馳せて、楽しみな嬉しい気分に浸れるのは
とても…幸せな事よね…
未来が輝いて見えるって、凄い事だと思うの。
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