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帰港地 12



二人の間の微妙な距離が、
…今の心境を現わしているかのように…。

真夜中の神社の境内に、
明るい月光で浮かび上がる、少し離れた二つの影。






無言で、“う〜ん”と考え事をしても、
一向に答を言わない私の様子を見て…
隣で、雲雀さんが、また大きな溜め息をついた…



「全く、君は…。…自分がどうしたいのかも、判らないのかい?」



「…………。」



(分かったけど…言えない。)

(…私は雲雀さんの傍に居たいんだって、自覚したけど今更だもんね。)







「君が、自分で…今後どうしたいのか判らないのなら、僕が教えてあげるよ。」



「…え?」 




雲雀さんが教えてくれるって…。  

一体、何を言うつもりなの?



少し緊張しつつ、彼の言葉を待つ。





「真理子が、出来る事をすれば良い。」



「…?…。…出来る事?」






「そう。…君は何が出来る?」



「…………。」





私に出来る事?…何かあった?

何か、特別な資格も取って無いし、手に職もないし…
何も“出来る事”なんて無いよね…と
考え込んでいたら…





「君は、自分が今まで何をして来たのか…自覚がないのかい?」



「…今までって…。何時も雲雀さんと一緒にいた記憶しかないし。」
「何か出来るようなスキルを身に付けた記憶は、特にないのですが…。」





「…あるだろう。真理子にしかない、特別なスキルが。」



「特別なスキル…?いえ、私はお料理もお掃除も…家事全般でも普通にしか出来ないし…」



「違うよ。…そんな事ではなくて、僕に関する事だよ。」



「…雲雀さんに関する事?…ええと、…何かありましたか?」




思いっ切り?マークを飛ばしている私を見て…呆れ顔の彼。














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あきゅろす。
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