[携帯モード] [URL送信]
帰港地 11




「じゃあ、質問を変えるよ。…君は、どうしたいの?」




どうしたいのか?と問われても…解らない。

私は、一体…どうしたいのだろうか?



思わず、う〜んと考え込んだ。






一生懸命に考えてみるが…
一向に、自分が何をしたいのか…分からない。


何か、私がしたい事って…あった?



趣味に生きるタイプでもないし、仕事に生きるタイプでもない。
第一、私は就職した事がないのだ。

大学卒業の時に合わせて、普通に就職活動をしていたら
雲雀さんから…

『就職はしなくて良いから、僕の身の回りの世話をしてよ。』
…なんて言われて、
大喜びで、彼の元に転がり込んだのだから…。



だけど、あの時…
両親の猛反対を押し切って、
飛び出して来たお陰で…実家には帰れないのだけど…ね。







そう言えば…あの時…
私は何を考えて、雲雀さんの元に来たのだろう?

何時も何時も…私のほうが追いかけてばかりで…
面倒そうにしか相手にもしてくれなかった、あの雲雀さんが…

『僕の所に来れば?』
と言ってくれたのが、ただただ嬉しくて…
彼の傍に居たくて…彼の為に何か役に立ちたくて…それだけだった。

他に…私の望みなんて、何も無かったんだよね…。





改めて、如何に私が…雲雀さん一筋で生きて来たか、
…良く解った。

他には何も、目に入らないほど…
他には何も望まない程、彼の事が好きで好きで仕方なくって…夢中だった。

私から…雲雀さんを取ったら、他には何も残らないんだ…

だから…
『これからどうしたいのか?』
の、答えが出て来ないのね…。




だって、私の望みは、
『雲雀さんの傍に居て、雲雀さんの為に何か少しでも役に立つ事をする事』
…だから。

雲雀さん中心の発想しか
…私には出て来ないんだもんね…。





彼と別れる時の事とか、別れたらどうするのか?とか…
そんな事は、今まで、一度だって考えた事がない。

イキナリ、こんな現実を付き付けられて、戸惑ってるのが現状だ。




…本気で、どうしたらよいの…?


……私……ιι










[*前へ][次へ#]

11/29ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!