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家族模様 12




隣で、一緒に驚いた顔をしている草壁さんに…
軽く頭を下げて声をかけた。

「休日なのに、お疲れ様です。」
「あの…今日、真衣が…」
「初めてケーキを作ったのですが…宜しければ食べて行かれませんか?」



「とても有り難いお申し出ですが…」
「しかし…この後、私用がありますので本日は失礼したいと思います。」

と言いつつ、草壁さんはチラッと恭弥さんを見ている…。




恭弥さんは、表情も変えないし何も言わない。
これは…
『そうしろ』という肯定の時の態度…草壁さんはそれを確認すると、

再び軽く頭を下げつつ…
「では、失礼致します。」  

と言って、静かに玄関の扉を閉めた…。






素早く車に乗り込んだ草壁さんが車を出して去って行った音がする。
その音を背後で聞きつつ、恭弥さんは…
ニコニコしている真衣を見て、ふぅと軽く息をつき、その頭をそっと撫でつつ…。



「君が…ケーキを作ったのかい?」



「…はい!ママと一緒に作りました。」



「そう、それは…楽しみだね。」






そう言って、今度は、
何も言わないまま玄関に立っている息子二人を見る。



「君達も…一緒に作ったのかい?」



「うん…ケーキの方は少しだけね。」
「僕達は、主に…夕飯のおかず作りを手伝ったよ。」


と、長男の政紀が答える。






「…そう。…先に着替えて来るよ。」
「着替えたら、すぐにダイニングに行くから待ってて。」


そう話しつつ…未だに無言のままで立っている、
次男の拓弥の頭に“ポンッ!”と軽く手を置き…

驚いた顔をした拓弥を、横目でチラと見て、
続いてその目を私に向けて…
一瞬、柔らかく微笑んだと思ったら…
スタスタと自室に向かって、歩き出していた。







あの様子では…どうやら…
かなり喜んでくれているようね…。

今日のお夕飯のメニューを見れば…きっと、もっと喜んでくれるだろう。



玄関に立ったままの子供達を促しキッチンからお料理を運んで、
恭弥さんが着替えて来るのを待つ事にした。















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