時を重ねて 4
全く、思ってもいなかったから…とても嬉しいっ!
「あの…有難うございます!…嬉しいです…。」
「うん。…やっと気が付いたようだね。」
「はい…。」
「でも、正直…恭弥さんが、こんな提案をしてくれるなんて…」
「思ってもいなかったので…驚きました。」
「…君、僕を何だと思ってるの。」
「僕だって…それぐらい覚えているし、僕なりに考えてもいる。」
「…そうでしたね。」(…ふふ…)
「…何、笑ってるの。」
「いえ…あの…毎年、恭弥さんがどんな顔して…」
「お花を買うのかと想像したら…その、可笑しくて…」
「……別に、普通だよ。」
「適当に、買ってくるだけだからね。」
「そうですか?…それにしては…」
「何時も私の好きなお花ばかりで、作った花束ですが…ふふ…」
「…たまたま、だよ…」
テレたのか…それっきり、
再び沈黙してしまった彼の横顔を、チラッと盗み見しつつ、
ひとり微笑んでいた…
だって…あの花束が
「たまたま」の結果だなんて、有り得ない。
この時期には、あまり店頭に並ばない種類のお花で、
私の大好きなお花が…
必ず、一緒に入っているんだもの…。
あんな花束は…
絶対に、事前に特別注文でもしていない限り…無理だと思う。
彼が黙ってしまったので、自然に私も無言になる。
再び、良く見えない窓の外を
…無目的に眺める…。
暫くして、車が高速道路から降り、一般道を走り始めた…。
ここには、出発した時と同じような光の洪水はない。
代わりに…
豊かな自然の象徴のような緑の風景…。
間も無く、窓の外に…海岸沿いに良くある松林が見えて来た…
…そろそろ、だろうか…
そう思っていた時に、
車が角を曲がり…松林の間の細い道を抜けて、
…海岸沿いにある駐車場に着いた。
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