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時を重ねて 2




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あと1時間程で明日になる…という時刻に、帰宅した彼…。

最近、仕事が忙しいらしく
これでも今日は、帰りがかなり早い方だ…。
何時もなら…軽く、もう一時間ぐらい遅いのに…





「…ただいま。」



「お帰りなさい…恭弥さん。…お疲れ様でした。」  
「…お食事は?」 



「もう食べて来たから、要らないよ。」








「それより…優子、今すぐに出掛けられるかい?」
「…海に行きたいんだ、ちょっと付き合いなよ。」



「…えっ…今から? …こんな真夜中に海へ?」




「そう。」
「まぁ、行っても真っ暗で、何も見えないだろうけど…。」
「……波の音を聞きたい。」









「波の音…?」




「…良いから、早く準備しなよ。」   
「僕は着替えて来るから、その間に優子も…準備をしておいて。」









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一方的に、
『今から出掛けるから、付き合え』宣言をされ…

バタバタ準備をし、何が何だか分からないまま…
車に乗せられ、今に至る…。



スーツ姿から私服に着替えた彼は…
いつもの厳しい感じはあまりなくて
ゆったりと、このドライブを楽しんでいるようにも…見える。

かっちりした背広ではなく、
どこか寛いだ雰囲気の服装が、そう思わせるのかもしれない…。






彼…恭弥さんと知り合って…
…かれこれ10年以上は経つ…


その間に…今日のような、
“一方的に決めつけてしまうような場面”は、
数限りなくあったし…正直、慣れてもいる。

でも、相変わらず…何を考えているのか、分かり難い人…。







私の隣で、流れるような
優雅な動作の運転をしている恭弥さんは、さっきから無言…。


彼の方から、話し掛けて来ないのは…


(最近の…)
(忙しい仕事の事で、考えを巡らせているのかもしれない…)

(もし、そうなら…話しかけられるのは迷惑だろうし…) 
…と、そう考えて、私もずっと無言。





仕方がないので、流れる音楽に耳を傾けつつ…

窓の外の景色を眺めている…。












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あきゅろす。
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