[携帯モード] [URL送信]
時を重ねて 13



そんな事を、思っていると、
…何年経っても…飽きる事なく…
毎度毎度…自分に見惚れている妻に気が付いた恭弥さんが、 
少し怪訝な顔をして尋ねて来た…。




「…何?」



「いえ…、キレイだな…と思って。」



「は?」






「月の光を浴びて…スポットライトを受けたように見える…」
「…恭弥さんと、子供達の様子が…」
「絵になるほど、美しいな…、と思っていたのですよ。」



「………。…そこに、君は居ないのかい?」



「私は…鑑賞者です。」



「ダメだよ。…許さない。」






そう言ったかと思うと…
いきなり腕を取られて…恭弥さんの傍に引き寄せられた…


「優子も…、一緒に、同じ絵の中に収まらないと…ダメだ。」



「…え…?」





強く引かれた為と、彼の言葉に驚いて…離れようとしたら…

「…離れたら、…咬み殺すよ…」


腕に少しだけ力を入れつつ、
…そう、優しく耳元で、囁かれて…。


((…ふぅっ…))


…と小さく溜め息を吐き、離れる事を諦めた…







その様子を見て、
頭上で…満足そうな(クスッ)という声が聞こえて来る…


「そうやって、僕と子供達の傍にいなよ。」
「…これからも、ずっと…」



「…はい…。」





静かに寄り添い…
改めて、家族全員で、一枚の絵画に収まった…





この最大の幸福に、……最大の感謝を……

そして…、どうか…
この幸福がずっと…ずっと…永遠に続きますように…




そう…心の中で…願いつつ、顔を上げたら…

恐らく…同じ事を考えていたのであろう…
愛しい人の瞳が、
すぐ傍で、優しく見詰めてて…




小さく…心臓が、反応した…。










[*前へ][次へ#]

13/16ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!