時を重ねて 10
疲れている恭弥さんを起こさないように
注意しつつ、より静かな運転を、心掛ける…
元々、静かな車だし、運転もし易い車なので…
これなら、何とか…
自宅に着くまでの間、彼に休んで貰えそうだと…ホッとしつつ…
夜中の運転を…楽しんだ。
++++
++
+
無事に自宅に到着し、静かに停車させた後…。
彼に、…少し控え目な小声で、
…声をかけた…
「…恭弥さん…、…自宅に到着しましたよ。」
「……ん……」
ゆっくりと覚醒し、…切れ長の眼を開け、
静かに首を回し…綺麗な灰青色の瞳が、私を捉えた…
ほんの僅かに、眼を細め…微笑する。
彼はチラッと、窓の外を見て…
車が、自宅の駐車場に停止している事を確認し…
「もう、着いたのかい?」
「…無茶な運転は、してないだろうね?」
「…大丈夫です。」
「早かったのは、道路が空いていたからですよ…。」
「そう。…なら良いんだけど…。」
「…お陰で休めたよ。」
「お疲れのようでしたし、…良かったです。」
「…うん。さぁ、行こうか。」
「はい。」
自宅に入り、部屋の灯りを付ける。
お風呂に入れる準備は、
出掛ける前にしておいた筈だけど…念の為に見に行った。
うん、大丈夫。
お湯加減も、丁度良い温度で保たれたままだし…。
スグにお風呂に入って貰おうと…声をかけようと思ったが…
…彼が、リビングにいない…?
……あれ?……どこ?
…ん…?
もしかして、…あの部屋かな?
かすかな音が、聞こえた気がして、
そちらの方向にある部屋に、足を向けた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!