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異次元逢瀬 14






「…そうですか、良かった。」

そう言って、骸さんが少しだけ寂しそうに笑った。






「本で読んでるのだから…」
「今、僕の本体が何処にあるのか…知っていますね?」



(そうか、今逢ってる骸さんの本体は…復讐者の暗く冷たい水牢の中だ)



「……はい。」









「…あそこは、酷く退屈な場所でしてね…。」
「だから僕は…」
「精神を飛ばして色々と『外出』してるのですが…」

「今日は、思いがけなく…」
「異次元世界の住人である貴女に逢えて…本当に楽しめましたよ。」
「面白い話も色々と聞けましたしね…。」


「…真奈美…。」
「貴女は本当は、僕の未来も…知ってるのでしょう?」





「…えっ…」






「クフフ…。」
「貴女は意図的にリング戦の事までしか、話していないのでしょう?」



「…気がついて、いたんですか?」









「…でも、それでいいのですよ。」
「貴女の判断は、間違っていません。」

「未来の話など…聞かないほうが良いし。」
「…聞く必要もない。」



強い意志というか、
覚悟を秘めたように、聞こえる言葉だ…。






「…それより、僕は…」
「いつか又、貴女とこんな風に逢いたいと思いますよ。」

「貴女は…どうですか?」





「え…、そ、それは勿論!また逢いたいです!」
「…でも、どうやったら逢えるのか解らないけど…」







「クフフ…大丈夫です、真奈美。」
「貴女の世界の物語がもう少し進んだ所で…」
「きっと、また逢える機会が来ると思います。」

「もっとも…その時に」
「貴女が今と同じように…僕に強い想いを向けてくれていれば…の話ですが。」





「……あたしの…強い想い?」






「そうです。」
「これは僕の憶測ですが…この世界の異常な星の並びと、空間の歪み…」
「それにきっと…」
「貴女が、僕の事を想ってくれている強い気持ちが…」
「切欠というか…媒体になって、この世界へ誘(イザナ)われたのでしょう。」

「だから、次回…そのような機会がある時に…」
「まだ貴女が、僕の事を強く想ってくれていれば…」
「…再び逢えますよ…きっとね…。」










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あきゅろす。
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