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はじめまして、さようなら。
2


つんつん。
背中に、小さく違和感を感じ、
ちょっとだけ後ろを見る。

「久樹。外、外見てみ。」
僕らのクラスは、比較的体育館の右端の方で、
外の景色を簡単に見ることができた。
出席番号順に並んでいるから、僕の後ろは藤坂だ。
はやく早くと急かす藤坂に促されて、
僕は体育館の外を見た。

今日は、風が強いと思っていたけれど。

ごうごうと鳴る風は、
この高校の名物でもある太い桜の枝をも揺さぶって、
桜の花弁を盛大に散らせていた。

息を呑むほど美しいその光景に、
僕は思わずここが現実だとは思えなくなっていた。

き れ い。

声を出さずにつぶやく。
聞こえるはずのない藤坂が応えるように、
凄いよなと
彼には珍しく、
僕にも聞こえるか聞こえないかくらいの
小さな声で言ったから、

うん。
と僕は、少し大げさに頭を上下に動かした。




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あきゅろす。
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