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はじめまして、さようなら。
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久しぶりに見た夢は、まさしく悪夢だった。

一面に、魚の死骸が浮いていて、
そこを僕は一人で泳いでいた。
魚の死骸を掻き分けて、永遠に、僕は一人だった。

小さい頃、姉ちゃんと二人で夏祭りに行った事があった。
そこで掬った金魚を、
僕たちは家で飼っていたのだけれど、
僕が水槽掃除当番の週に、掃除をした後、
空気ポンプのスイッチを入れるのを忘れてしまい、
殺してしまった。

濁った水面に仰向けになった金魚は、
自分の意思を持って、
ぐるぐると泳ぎ回っていた頃と
同じものだとは思えないほど、
ただの不気味なものになっていた。

僕は恐ろしくて、恐ろしくて、
濁った水面に浮かぶ3匹の金魚を見つめながら、
姉ちゃんが学校から帰ってくるまで、わんわん泣いた。

それから、僕は、魚が食べられなくなって、
魚を見ると、恐怖が燻るようになってしまったため、
水族館にも行けなくなってしまった。





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あきゅろす。
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