はじめまして、さようなら。 3 「幸せは歩いても来てくれないのに 溜息だけで逃げてくなんて、気ぃ強いよなー。」 女王様タイプなのかな。 僕の溜息の根源は、なあ、と僕に笑いかける。 「恥ずかしがりやなんじゃない。」 笑いかけられてきゅんとするのは、 自分に可能性があることを分かっている人だけだ。 可能性を持たない僕は、 ただただ心を揺らされて、居たたまれなくなる。 だから、殊更何でもないように返す。 「おお!その解釈だったら 幸せもかわいい奴になるなあ。」 しみじみと、藤坂は頷く。 頷くその頭を叩いて笑ったのは、 藤坂と同じくらい焼けた、 藤坂と同じ部活のハヤシダ君だった。 「馬鹿な事いってないで、 お前が可愛いって思うのは他にいるだろぉ」 ←pn→ |