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雷に咲く花
15.試合マエ。(12/29)

 来電直危の憂鬱な1日になるはず…の、今日はバレー部が待ちに待った他校との練習試合の日である。

 他校っといても、兄弟校の(こちらは全寮制の男子校)愛羽(あいは)学園。

 レベルでいうとうち(白羽学園)のほうが断然上なのだが、なぜか愛羽学園は妙にうちの白羽学園を目の敵にしている。

 気を抜くとレベルが下とは思えない、実力を発揮してくるので、油断ができない。

 そんなにうちを目の敵にして、実力以上の力が出せるのなら、「地区予選の時にもっと頑張ればいいのに…」と、これは、うちのバレー部が口には出さないがいつも思っていることだ。



 試合開始前…ベンチにてスタメン発表。

 対ベンチにいる愛羽学園は気合十分なようだが、なぜかオレも密かに気合が入っていた。

 会場である体育館は、さすが『運動第一』を掲げる白羽学園だけあって、他校には見られないくらい金を掛けている。

 2階席にはちゃんと応援スタンドがあるくらいだし、冷暖房完備、天井はもちろん高いし、TVで観る○○体育館と遜色ない。



 バレー部最弱の中学、野北中出身のオレからすれば、地獄からまさに天国に来たと言ってもいい!

 てか、いまだに野北中出身のバレー部のみんなには、オレがこの学園に合格できたか、不思議に思われている。

 オレだって、身長以外に取り柄といえるものがなかったから、何で合格できたか?

 当時の面接官に聞きたいくらいだ。



 ちなみにこの学園は、中・高・大学部があり、オレは高等部からで受験して合格した。

 試験では、学科より運動面を重視する傾向にあり、面接は特に重要視され、オレは極度の緊張で、何を話したかあまり覚えていない。

 ほんと、よく合格できたよ、オレ!



 話しが脱線した………そうそう、試合恐怖症のオレが気合入れている理由!

 なんと、2階席の応援スタンドに書記サマが来ているのだ!!

 両脇に親衛隊長と風紀委員長がいるが、オレの目には何も見えない!って、暗示をかけておこうと思う。

 だって、その2人は眼光鋭く、オレばかり睨んでいるからね〜〜〜。

 本来なら、素足で逃げ出したいです。

 でもさぁ、書記サマが小旗とか振りながら、真っ赤になりつつオレを見ている訳で………。

 これでじゃ、頑張らないと男じゃないしょ!!



 書記サマには、ちゃんと告白らしきものはしていない。

 風紀委員に入れられた監獄の時には、それらしい雰囲気にはなったが、結局、書記サマの泣き顔やら笑い顔やら見ていたら、そんなのあとでいいやって思っちゃったしね。

 『そんなの、あとでいいや』の告白がこんなに苦労するとは…。

 いつものオレなら先輩達に協力を仰ぎたいが、今回ばかりは出会いが出会いだけに、オレからちゃんと行くべきだろう。

 試合に勝ったら………書記サマのところに行って告白だ!!

 今はこんなことでしか勇気が持てないオレだが………その肝心の試合が問題なんだよなー。


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