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女神に愛されし者
8.

 すると、ここでパトリシアさんが満面の笑みを浮かべ、「エリちゃんもそう思う?嬉しいわー!」と、もの凄く悦ばれる。

 今日、精霊がいる湖に行く前に、ハーデュスの森にあるハーデュス村に行き、そこにいるハーデュスの魔女と呼ばれる人に会いに行かなければならないらしい。

 『ハーデュスの魔女』とは、ハーデュス村にいるAH使いの医者のトップの人の称号だ。

 そして、現在のハーデュスの魔女は、ハーデュス村の村長も兼任しているとのこと。

 で、この隊にいる唯一の女性パトリシア・ハーデュスさんは、その村の出身で次期ハーデュスの魔女と呼び声高い人だ。



 でもなー、ちょっとおかしいんだよな…。

 たしかハーデュス村は何千年前かに滅んだはずなんだ。

 魔女が生まれずに………。



 ここで説明しよう。何千年前かのハーデュス村を!

 ハーデュス村には、代々ハーデュスの魔女と呼ばれる人が存在する。

 ハーデュスの魔女は、加護持ち(AH使い)で、火と地の力が使え、その力を持って薬草を作ったり、傷を癒したりしていた。

 が、年々女神の加護を持つ人が生まれず、何千年前にとうとう加護持ちがいなくなり、それで村は滅んだ…はず…。



「あのー、1つ質問なんですが、ハーデュス村はあのハーデュス村なんでしょうか?」

「もしかして、エリさんは、大昔のハーデュス村をご存知なんですか!?」

 キラリッと眼鏡を光らせて、俺の質問に喰いついてくるリールさん。何気に怖いです…。

「えっーと、どっかの街の文献で読んだ気がします。たしか『魔女不在が続いて滅んだ』と…」

「私も以前、そのことを調べたことがあったんです。しかし、その疑問もパティさんによって解決されましたよ」

「ほんとリールちゃんには困ったわよ。私がハーデュス村の出身とわかると質問攻めにしたんだから…」

 パトリシアさんが、その時のことを思い出したのか顔をしかめながら答える。相当、突っ込んだ質問をされたようだ。

 何でも、リールさんは、歴史オタクのようで…訂正、軍に所属する傍ら考古学者でもあるらしい。

 リールさんは、第三部隊で兄キース副隊長に憧れ、沈着冷静を心がけているようだが、いつもキレるのが早く、皆にからかわれている感じだ。

 あれ?リールさん、考古学者はいいけど、そんなにキレやすくて歴史的資料とか燃やしちゃったりしてないよね…。ちょっと心配。


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