女神に愛されし者 0. 朝日に照らされた葉が青々と光り輝く森の中、澄んだ空気を吸い込み隣にいる人物に笑いかける。 サクサクッと2人分の草を踏む音がどこまでも続けばいい、なんてことを考え歩くのは楽しかった。 それに、その時聞いた言葉は、一生分の幸せを使い果たしたもので…。 『2年間、死に物狂いで父の元で、国のことを勉強しながら王のことを学ぶ。そうしたら俺は、2年後には政治的にも発言できているようになるから、そしたらエリに伝えたい言葉があるんだ。エリ、その時は聞いてくれるか?』 しかし、いつか聞くはずだった言葉は、結局聞くことは叶わなかった…。 ファイ、君は何を俺に伝えたかったの? 俺の想像した通りの言葉だと信じていい? そして、君の生まれ変わりであるカイニール・アリネスからもらった言葉は、君がくれるはずだった言葉だと信じていい? 『ずっと、ずっと、好きだった。昔(前世)も今(現在)も、この気持ちだけは変わらない…』 この言葉を信じたい!でも………。 信じたいのに信じられない。 カイ隊長の王位継承権が復活した今、更に信じられなくなって…。 ごめん…。 何千年、何万年生きているのに、またファイと同じ顔をしたカイ隊長に「あの時の言葉を取り消してくれ」なんて言われるかと思うと、逃げるしかなくて…。 ごめん、こんなに好きで…。 心の中で何回も謝る。 そうすることで、尚更、君のことを好きだと自覚することはわかっているのに… 愛している。 長い間君を愛し過ぎて、俺はもう―――。 [☆未来へ] [戻る] |