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女神に愛されし者
10.

*****

 気の遠くなるような昔…。



 オルヴァーン国が、滅んだ数日後、俺は隣国のアリネス国にて、同じ年の親友、ファイアース・イル・アリネスの部屋で寛いでいた。

「それにしても、君はすっかり姿が変わってしまったねー」

 俺は苦笑いしつつ、その言葉に耳を傾ける。

 この国に着いてからわかったことだが、俺の元の髪の色は栗色だったのに、現在は赤。

 瞳の色も金に近い薄茶色だったのに、現在は右が金、左が銀色。顔形は変わっていないものの、どう見ても別人だ。



「今、神官達が必死で文献を開いて、そんな現象あるのか調べているけど、わかったところで元に戻る訳じゃないし、無駄な作業だね。エリも今更、女神の加護を受けて、加護持ちになるなんて複雑だろう」

 エリとは、俺の名前の略称だ。ついでに俺は、親友をファイと呼んでいる。



「それよりも、俺は、この訳のわからん力のほうが厄介だと思うけど…」

「それでも、加護持ちには変わりないんだし…」

「まぁな………」

 俺は、自分の容姿の色彩が変わったばかりか、女神の加護まで受けていた。

 しかも、普通は1つ又は、2つしか持たない力が、俺は火・水・風・地の全ての力が使えることが判明した。

 アリネス国の神官達は、俺のことを【女神に愛されし者】として敬っていたが、これが、女神に愛された恩恵っと、言われても、いまいちピンッとこない。



 ここで、一つの疑問が…加護の色の青い色が、俺の髪や瞳の色にはない。それなのになぜ俺は、水の力まで使えるかと思うだろ?

 その疑問は、些細な事で判明されることになる。

 服を着替えている時、背中に不思議な紋様が、青色で描かれいるいのを親友が発見したのだ。

 この紋様は、女神ヘステリーナの紋様だった。

 それで、俺が【女神に愛されし者】なんて、称号を頂いてしまったのだ。


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