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女神に愛されし者
4.

 隊長さんの名前はキース・ホイル・ベルシュさんで、26歳、なんと隊長さんはアリネス国の第三隊に所属していて………。うん?アリネス国?

 キースさんの話を全部聞く前に、あることに気付いた。

「あのー、一つ質問が…。ここはアリネス国なんですか?

「そうです。もしかして、君は行き先もわかないまま、この国に売られて来たのですか?」

 その言葉にわずかに俺は頷くものの、思わず回れ右して立ち去ろうとする。

「ちょっと、ちょっと、君、どこに行くんだい?」

「俺、亡くなった両親の遺言で、アリネス国には近づくなって、言われているんです。それでは、失礼します!」

 俺は、隊長さんから高速で離れようとするが………その前に、ガシッと肩を掴まれて、あっけなく逃亡は阻止させられる。



「君は唯一身分がはっきりわからないし、そう簡単に逃すことはできません」

 うわぁー、隊長さんが妙にキラキラ笑みを浮かべ、俺を逃がさないように肩に力を入れられる。

 こうなってしまっては、もう逃げられない…。

 俺は、身元不明の怪しい人物として軍に連行された。

 もしかしたら、はじめっから怪しい人物とみなされ、連行しよう考えていたのかもしれない。

 なぜなら、改めて隊長さんをはじめ他の隊員の人達を見てみると、『アイツは危険人物』という、鋭い目つきで俺を見つめていたから…。



 はぁー、こんなことになるなら、強行突破してでも人買いから逃げれば良かった。

 俺は、ド田舎村から無一文で人買いに売られたため、旅の資金がなかった。そのため、そのまま大人しく、檻に入れられていたのだが…。

 まさか、こんなことになるとは………情けない理由だが、人買いに大人しく掴まっていた訳は、ここなら食事も旅の移動もタダだという安直な考えからだ。

 こんな単純性格の自分が憎い。


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