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女神に愛されし者
出会いは最悪3

「ファイ、お前は利害しか考えていないようだが、それよりも大事なこともある。エイリス君は、それをちゃんと知っているぞ。ファイもそろそろ、そういうことも覚えなさい」

「………」

 アリネス国王が諭すようにいうと、さすがにここで王子も反論することがなくなった。あぁ、やっとかよー。

「それでは、ファイ本題だ。エイリス君は、君とお友達になりたいそうだ。これから、仲良くしていくんだぞ」

「「はあぁぁ?」」

 俺と王子様が同時に驚いた。

 それぞれ違う理由で驚きの声を上げたのだが、俺の場合は確実に「いつ、俺が『お友達になりたい』宣言したんだよー!おっさん!!」と、突っ込み交じりの驚きだ。

 王子の場合………これ以上、自分が可愛そうだと思いたくないので、想像しないことにしよう。

 当の驚き発言をぶちかましてくれた王は、ニコニコ笑いながら、そんな俺達の様子を眺めていた。



 それからというもの、俺の日々は、軍に顔を出し、基礎からの剣術や武術の稽古。

 それに加え、加護の力の基礎勉強や加護持ちの戦い方の基礎勉強。

 基礎基礎基礎基礎………やってられるかよ!と、いつもの俺なら投げ出すのだけど、どうも、俺は軍に性が合っているらしく、苦も無くコツコツ基礎から勉強している。

 で、その後の王子との関係だが、『進展なし』ながら、毎日顔を合わせるのを日課にされてしまった。

 これはアリネス国王のお願いっという名の命令であり、俺達は従うほかなく、毎日午後の休憩時間や夕食を一緒にとるようになった。

 しかし、この時間は俺にとって拷問より酷い、拷問で………。



「こんにちは、ファイアース王子」

「こんにちは、エイリス王子」

 これが午後のお茶会の挨拶。

 その後、侍女が数名やって来て、お茶会のセッティングをし、お茶やクッキーをひたすら飲み、食べ、飲み、食べ………ようするに、それ以外の会話が全くなかったりする。

 とりあえず、お茶会の最後の挨拶はあるのだけど…。

「それでは、エイリス王子、私はこれで失礼します。このあとまだまだ勉学に励みたいもので」

「は、はい…。それでは、また明日………」

 俺は引きつる笑顔を見せ、これで今日のお友達ごっこは終わり。

 ちなみに、最後のファイアースの言葉に、『勉強があるのだから、こんな茶番付き合ってられるか!』の副音声が毎回聞こえて、確実にきっと、このようなことを考えていると思う…。

 さてさて、こんな性格の王子様………こんなんで、友達とはいかなくても、仲良くやっていけるのか、とっーーーても、不安だ。←友達になるのは、初対面での出来事で諦めた。


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