女神に愛されし者 11. 「この剣はな、女神ヘステリーナの剣、白晶と女神と対になる堕神の剣、黒晶だ」 「女神ヘステリーナに対になる神なんていたのですか?」 興味津々に聞いてくるショー。 2人が知らなくて当然だ。 堕神の記録はオルヴァーン国でも、城の禁忌書物以外に書かれていなかったのだから知りようもない。 オルヴァーン国は、女神ヘステリーナが作ったはじめの国とされている。 その国でも極秘扱いの事実を他国が知らなくて当然なのだ。 「どんなモノでも、対はあるだろ?光には影。男には女。女神ヘステリーナが光とすれば、必ず影の神は存在する。て、言ってもオルヴァーン国の書物には女神に封じられたとか、滅ぼされたと記して、名前すら記されてなかった神だけどね」 「はへぇ〜、そんなことはじめて知った。な、ショーはこのこと知っていたか?」 「私もはじめて聞いたよ。それで、何でその神々の剣がここにあるのですか?」 2人は目をキラキラさせて、俺に聞いてくるが理由を言った瞬間呆れられた。 俺の理由…。 「力を暴走させてたどり着いた地で、偶然この剣のことを知り、好奇心で近づいたら懐かれてしまったと…」 ***** 剣との出会いは偶然………ファイがいなくなり(亡くなり)、数十年後。 たしか暴漢か山賊かそんな者に襲われた俺は、逃げるために加護の力を使い暴走させてしまった。 その時暴走させた加護の力は風で、自分までも吹き飛ばしてしまった、俺。 気が付いたら北の地、ブラッサンス国の雪山にたどり着いていた。←倒れていたとも言う。 その時、一軒の宿屋に泊まった俺は、宿屋の主人から、その雪山が極寒吹き荒れ人を寄せ付けない山だと説明される。 そして、お約束の伝説のように、その雪山の奥深くには、二口(ふたふり)の剣が封じられているとか、なんて話も聞いた。 もちろん、宿屋の主人は、その二口の剣に決して近づくな………と、忠告はしてくれたのだけど…。 生きとし生きるモノをも退ける極寒地帯に怪しげな二口の剣。 好奇心旺盛な俺は………ついつい、その山に向ってしまう。 雪山を数時間歩き進めたら、大穴の空いた地を発見! 大穴には、二口の剣が地に刺さっていて………思わず、大爆笑!! だって、あまりにもらしくて、原因がこの剣ですって言っているようなもので。 しかし、笑っていられたのもそこまで、そのあと『生きとし生きるモノをも退ける極寒地帯』の意味を知る。 大吹雪、気温はマイナス何度だっっっーーー!!っと、叫びたい状況。 せめて熊の巣穴でも見つけられればなどと思ったが、動物はおろか植物さえ存在しない雪山。 キレた俺は、あまりの寒さのため、またしても加護の力を暴走させた。 ***** [★過去へ][☆未来へ] [戻る] |