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続・死神とダンス♪〜君を救う光〜
04.平凡クンの光ぃ★

 兄の葬儀をすませ学園に戻ってくると、ぼくの生活が一変する。

 寮の2人部屋を1人で使っていたぼくに、担任の先生から同室者が来ると言われたのだ。



 ある日の夕暮れ時。

「初めまして、今日から君と同室になる、杉崎しのぶ(すぎさき しのぶ)です。よろしく」

 にっこり微笑みを浮かべる美少女………いや、ここは全寮制の男子校だから、美少年にぼくは顔を真っ赤にして「よ、よろしく。ぼ、ぼくは田伏萌葱…」と、自己紹介するのが精一杯。

 郷内くんもきれいっだと思っていたけど、杉崎くんはそれ以上に美しく………絶対背中に翼を忘れて生まれて来たとしか思えない天使の容姿をしていた。

 柔らかそうなハニーブラウンの髪、二重のまぶたに丸く大きな瞳は不思議な紫という色。



 …もしかして、ぼくってもう死んじゃっていて死者の国にいるのかな?

 そんなありえないことを想像していると、杉崎くんがぼくの右手を取り握手してきて、生きている人間だと確認させられる。

 しかし、ふと杉崎くんの顔を見た途端、もしかして、杉崎くんと同室になることで、今以上にいじめられることになるのではと考えてしまい、思わず涙が溢れ出す。

 今以上のいじめ。

 前回、レイプ未遂を助けられたけど、今度こそぼくは…。



 突然泣き始めたぼくに杉崎くんはオロオロし始めるが、しばらくするとぼくは杉崎くんに優しく抱きしめられていた。

 ぼくの身長より10pは低いと思われる杉崎くん。

 やさしく温かい杉崎くんの身体に抱きしめられていると、なぜかほっと力は抜けて、涙が止まる。

「萌葱君、良く頑張ったね、ご苦労様。これからは、僕が君を大切にしてくれる人が現れるまで見守ってあげるよ………―――の願い通り」

 ポンポンとリズムよく背中を叩かれる。

 …あれ?杉崎くん、ぼくが今どんな状況か知っているの?

 それに誰の願い通りって………。



 しかし、この時急速に眠気に誘われて………杉崎くんに聞き返すより早く、ぼくは、そのまま夢の中へ…。






 夢の中で兄に逢ったような気がする。

「こんなに早く逝って、ごめん…」

 泣き笑いの状態で謝る兄の姿に、「ぼくの方こそ、ごめん」と、言うと、なぜか兄は、笑顔でぼくの頭を撫ではじめた。

「これから俺がいなくても、お前の側に『助け手』を用意しておくよ。その人は、きっと萌葱を幸せの光に導いてくれる。萌葱、あと少しだ頑張れ」

 夢だとわかっているけど、兄の言葉に何度も力強く頷く…。

 その時、漠然ではあるものの、杉崎くんがぼくの光だと思ってしまったから…。



 朝、目が覚め、ぼくは杉崎くんに「おはよう」と、声を掛けた。

 その声は、自分でも驚くほど嬉しさに溢れていて、杉崎くんがぼくと同じく「おはよう」と返してくれたのが、とても嬉しくて…数か月ぶりに本当の笑顔になることができた。


[後退〜♪][前進〜♪]

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あきゅろす。
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