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続・死神とダンス♪〜君を救う光〜
03.平凡クン★

 田伏萌葱(たぶせ もえぎ)、男子校で全寮制の●●学園、高等部2年。

 自他ともに認める平々凡々な少年だ。

 身長、体重、成績、運動神経、どれをとっても平均。

 よくぞここまで平均をとれるなっと、クラスメイトに驚かれたのは、1年の学期末テストがピタリッとど真ん中の順位だった時。←過去5度目の経験だが、なぜとれるのかは不明。

 しかし、この平々凡々な日々が終焉を迎えたのは、2年の始業式からだ。



 この学園に1人の転入生がやって来た。

 この学園はそれなりに転入試験が難しいとしされているが、あっさり満点を叩き出し、転入試験の合格を手にした、郷内ソラ(さとうち そら)くんは、どうしてか、平凡なぼくに懐いてしまう。

 教室の席が、隣だという理由だけで………。

 郷内くんの容姿は言うなれば、こんな平凡なぼくの友達という位置にいてはダメだという容姿で…。

 美少女5割、美少年5割と言う割合の中性的な美少年。

 可愛いとかっこいいの中間にいる郷内くんは、良くも悪くも学園で目立った。



 郷内くんの容姿はさて置き、普通にしてくれるならば、ぼくは友達でもいいと思うのだが、どう考えても頭が良いといえない行動が多く、ぼくの頭を更に悩ませる。

 この学園で顔の良い人に近づくと親衛隊があるから気をつけてねっと、忠告したはずなのに生徒会の皆さま(美形集団)と仲良くしているし、同室の不良くん(かっこいい)ともいつの間にか友達になっていた。



 これに怒り狂った親衛隊は、郷内くんに制裁と言う名のいじめをし………そして、なぜかそのとばっちりでぼくまで親衛隊の標的になる始末。

 いままで、平凡ながらも一緒にいた友達は、あっと言う間に離れて行った…。

 寂しかったし、哀しかったけど…ぼくが同じ状況になったら、そうするかも知れないと思い諦めることにした。

 そして、親衛隊のいじめにも日々泣きながら耐え、過ごしていた。



 しかし、そんな日々も郷内君の発言で、崩れてしまって…。

「おまえ等いい加減にしろよーーー!!おれは、萌葱が好きなんだ!!おまえ達のことなんてそんな風に見てねーよ!!」

 突然の告白!?

 ぼくは必死に郷内くんに「じょ、冗談だよね!?」と言うと、その数秒後には、ぼくは郷内くんに抱きしめられていた。

 抵抗する気力もなく唖然としていたら、生徒会の皆さまから鋭い視線を浴びせられ。

 あとは語るのも嫌になるほどの展開で………ぼくは生徒会の皆さまから暴力を振るわれることになる。

 親衛隊にも軽い暴力を受けていたが、これを期に両方から青あざの絶えない暴力を振るわれ、身心ともに疲れている時にレイプまがいな事態にも発展。

 幸い、その時は風紀委員に助けられて事なきを得たが、ぼくはその恐怖で12歳年上の兄に連絡してしまう。

「助けて、お兄ちゃん!!」

 その一言が、兄との最後の会話になるなんて………。



 ケータイで会話を終えた後、兄は役場の仕事を休んでぼくがいる学園に向かった。

 小さな田舎の島にいる兄は、本島に向けてフェリーに乗ったのだが、悪天候でフェリーは岩礁に乗り上げ、そこに大波が押し寄せた。

 ………兄は還らぬ人となった。



 こんなことになるのなら、兄に連絡する前に学園に退学届を出していれば良かった…。

 ぼくと兄は、数年前に両親を亡くしていたので、本当に2人だけの兄弟で家族だった。

 親戚もいず、12歳離れた兄は、高校はこの学園に行くように勧めてくれた。

 両親が事故で亡くしたのは、小学6年生の時、突然変わってしまった環境に兄は田舎の小さな島に住もうと言った。

 小さな島は、哀しいことを忘れさせてくれるくらい穏やかだったが、都会にある学園も楽しみで兄の勧めに頷いた。

 この学園はそれなりにお金がかかるのに、学園長が父親の友達だという理由で、授業料は通常より安くしてもらい通えていた。



 兄が亡くなり、途方にくれた状態のぼくに救いの手を差し伸べてくれたのは、理事長。

 保護者に名乗りを出てくれたり、授業料を無料にしてくれたり、兄の死に呆然とするだけのぼくの代わりに、たくさんの事後処理を理事長は引き受けてくれた。

 そんな理事長のためにも、最後まで学園に通いたい。

 でも、どんなにぼくが頑張っても………。


[後退〜♪][前進〜♪]

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あきゅろす。
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