続・死神とダンス♪〜君を救う光〜
45.目覚めぇ♪★A
………楽しかった。しのぶが転校して来て、友達がたくさんできて、大好きな人ができて…楽しくて、嬉しくて…。
あぁ、そうだ。ぼく楽しくて笑っていたのにとても哀しいことが起こって………。
そうだ、ぼくは、ぼくは!!
ガタガタ震えだしたぼくを兄は強く抱きしめる。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!!」
これしか言葉は出なくて、兄の服をきつく握る。
「大丈夫。目を開けても萌葱の味方はちゃんといる」
「そんなことない!きっと、みんなぼくのことを軽蔑して絶対嫌いになって!剛士くん、剛士くんも、ぼくのことが大嫌いになって………嫌われる、嫌われるよー。う゛っ、うっっぅぅ」
嗚咽交じりのぼくの背を規則正しく叩く兄にすがりつくように顔を押し付ける。
僕の背中を叩きながらも兄は言葉を続ける。
「俺は、ずっと萌葱を見ていたよ。そんな俺の言葉は信じられないか?」
「し、信じたいけど………もう、ダメだよ。あんなことをになったぼくなんて…」
「萌葱。『助け手』は萌葱の力にはなるけど、ずっと一緒にいられる訳じゃない。萌葱は、自分自身で見つけた光を信じてこれから生きて行くんだ」
「えっ?」
「大丈夫、だから目を覚まして。萌葱の側にずっといて、心配している人がいる。彼はもう限界だ」
彼って誰?ぼくの側にいる人………剛士くん?
なぜか側にいてくれるのは、剛士くんだと思ってしまった。普通でいえば、同じ部屋にいるしのぶのはずなのに…。
でも、なぜか確信できるくらいそうだと思えてしまったら、少しずつ少しずつ、目の前にいる兄が透けていく。
透けいく兄が、言葉を紡ぐ。
でも、声は聞こえなくて…口の開き方から感じ取る。
『頑張れ、萌葱!!』
何度も何度も繰り返す兄に泣きながら頷いたのを最後に意識が浮上する。
目覚めればきっと剛士くんがいる。
今度は逃げずに話をしよう。
大丈夫、ぼくはもう1人じゃない。
もう死んでしまったけど、応援してくれる兄に、きっと、しのぶもぼくの味方になってくれる。
大丈夫、今度はちゃんと………。
[後退〜♪][前進〜♪]
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