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続・死神とダンス♪〜君を救う光〜
44.目覚めぇ♪★@

 声が聞こえる………。誰?

「―――――」

 『起きて?』って………嫌だよ、ぼくは、このままここにいたいんだ…。

 現実の世界は、辛くて哀しくて…どこまでもぼくは誰からも愛されず嫌われていることを認識させられる。

 もう人から嫌われて、1人になるのは嫌なんた。

 だから、暗くても寂しくてもここに誰もいなくても最初から1人で、ずっとここで眠っていたいんだ…。



「嘘だよ、萌葱は「起きたい」って願っている。それに萌葱は、もう1人じゃないだろ?」

 1人真っ暗な空間で体育座りをしたまま、顔を膝にうずめていた。

 1人のはずの空間………どうして、ここにいるの?

「お兄ちゃん………」

 もう逢うことも叶わなくなった兄の声がぼくの頭上で聞こえた。

 顔を上げると目の前には兄がいて、困ったような、悲しんでいるような、複雑そうな顔をしている。



 死んでも心安らげないのだろうか?

 数年前に死んだ両親に逢えなかったのかな?

「お兄ちゃん、何を哀しんでいるの?もしかして、お父さんとお母さんに逢えなかったの?」

 兄は苦笑いしながら、首を振る。どうやら、違うようだ。

「じゃ、なんでそんな顔して…」

「萌葱がこんな場所に逃げているからだよ」

「え?」

「萌葱が笑っていてとても安心していたのに、あんな哀しそうな声を出していたら心配するだろ?」

「だっ、だって………うっ、うっっうぅー」

 涙が次々流れ出す。

 全てが哀しくて、今のぼくの状況とか、兄にこうして逢っているけど現実では逢えないこととか、泣いても解決できないけど、何も言えない分涙が止まらない。



 そっと、髪を撫でる手がある。

 もう二度と現実には起こりえないこと。

 やっぱり、ここにずっといたいよ…。ここにいれば、ずっと兄ちゃんと………。

「ダメだよ、萌葱」

 まるで、心を見透かされたように、固い口調で言う兄。

「どうして?ここにいれば、お兄ちゃんも一緒にいてくれるでしょ?あっちは嫌なことばかりで、もうぼくはあっちに還りたくない!!」

「萌葱!!」

 生前兄が、ぼくを叱ることはほとんどなかった。それに叱られた時は、本当にぼくが悪いことをしている時で。

 でも、今怒っている兄は、はじめて見るくらいの固い顔付きで、思わず身がすくむ。

「しっかりしろ、萌葱!俺がいなくなってから、何を学んだんだ!!」

「お兄ちゃん…」

「萌葱………俺がいなくなってから、本当に嫌なことばかりだったのか?」

「………」

「違うだろ?俺は、ずっと萌葱を見ていたから知っているよ。笑っていたよな。両親がいなくなって、俺がいなくなって寂しがっていたけど、それを乗り越えて最高に笑えている萌葱を何度も見ていたよ」


[後退〜♪][前進〜♪]

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