続・死神とダンス♪〜君を救う光〜
43.負けないでぇ♪
僕の停学が明けて、学園の生徒が1人消えた。
生徒会会計の魚住泉。
真相はゴウエンに聞いているが、何とも1人熱い人物がいる訳で…。
「しのぶ、アイツを起こせ!!」
「いや、だから、萌葱は眠っていて………」
「無理やり起こせ!!」
今にも僕の部屋に行き、萌葱を叩き起こさんとばかりに凶悪犯並の迫力を醸し出しているのは…。
「ゴウエン…」
僕は、思わず背広の裾を引っ張り、頭が痛い状況に顔を歪める。
「アイツが今起きないと、こちらの負けなんだよ!」
「いや、別に勝負している訳じゃ…」
「【彼】の願いを叶えなきゃ、こっちの負けみたいなものだろ!」
「………」
いや、それもなんか違うし…っと、言ってやりたいが、あまりの迫力に僕は沈黙してしまう。
確かに、萌葱が目覚めないとこの状況を打破することはできないし、反撃の機会は訪れない。
しかし、下手に萌葱が目覚めて、今以上に心を傷つけてしまったら………。
俯き顔を背けるよう、自分の足元を意味もなく見つめる。
どうすればいいのかわからない。
萌葱にとってこのまま目覚めないほうが良いのではないか?という気持ちと、それでも、またここで立ち上がって戦って欲しいという、相反する感情が揺れる。
「しのぶ、以前萌葱は1人だったが、今は違う。それに、これを乗り越えないと萌葱はずっと1人で生きて行くことになる」
ハッとし、ゴウエンを見上げる。
怖いくらい真剣な顔がそこにはあった。
迷っても、悩んでも、苦しんでも、それを最後に決めるのは萌葱。
でも、それは目覚めていればできることであって………。
「ゴウエン…。最悪、萌葱がこのまま眠り続けたいと言っても…」
「それを決めるのは、萌葱だ。そこまでの干渉は俺達に許されない」
コクンッと首を縦に振り、僕も覚悟を決める。
「ゴウエン、【彼】が萌葱の夢に入ることを閻魔様に了承してもらえる?それで、次に僕達がどう動きくか決める。………これで、いいんだよね、ゴウエン」
自分で決めたことだけど、自信がなくてゴウエンの顔を見つめる。
そんな僕にゴウエンはフッと笑い「上出来だ」と、僕の頬を優しく撫でる。
萌葱の決断が僕達を決める。
萌葱、負けないで!最後まで諦めないで!!今の萌葱にはたくさんの友達、仲間がいることを忘れないで!!
僕は、眠っている萌葱に届くように心の中で祈った。
[後退〜♪][前進〜♪]
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