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続・死神とダンス♪〜君を救う光〜
42.密会ぃ♪(Side.ゴウエン)

 月が頭上に輝き、人一人いないなんとも奇妙なところにゴウエンはいた。

 校舎裏………真昼間でもいじめの典型場所であるここは、通常の神経の人間であれば、夜でもここに来たがる者はいないだろう。

「しのぶ、それを狙った訳ではないだろうが………。お前の神経は、運動神経並にかなりずれている気がするぞ」

 独り言を呟くと、砂利を踏みしめる音がこちらに向かってくる。



「遅いぞぉ〜、少年♪」

 いつものようにおちゃらけて話しかけると、少年と言われた人物に月の光が当たり、姿を現す。

「う゛っげぇ〜、やっぱり、志似我先生なんだー。何気に志似我先生と俺の口調被るからやだったんだけどねー」

「あっははは〜、それ、今、私もそう考えていたことよぉ〜」

「まぁ、いいやー。そんじゃー、本題に入りましょうかー?こんな真夜中ですしー」

 俺のおちゃらけ口調に負けず劣らずの少年………生徒会会計の魚住泉がそう言って、校舎の壁に寄り掛かる。



「俺ってさー、実はサミエル副会長とソラちゃんに昔逢ったことあるんだよー」

「へぇ〜、いつ、いつぅ〜?」

「えっとー、5年前くらいかな?イギリスのなんとかって、パーティーで…」

 魚住のこの言葉は何を意味するのかわからない。しかし、判断材料になるかも知れないので、相槌をいれて続きを聞く体制に入る。

「そのパーティーで、ひと悶着ってか、いつものように勝手にソラちゃんが癇癪起こして、側にはサミエル副会長がいてー。俺はその時の様子が面白くって、忘れてなかったんだけどー、それはサミエル副会長も同じだったみたい」

「どういう意味だ?」

 思わず素で聞いてしまうが、魚住は気付くことはなく、ニヤリッと笑みを浮かべる。



「俺って、基本たのしーこと大好きなの、それが、自分を巻き込むことであっても、人が落ちてゆくことでも。で、今回、ソラちゃんの馬鹿騒ぎにも付き合っていたんだけど…」

 この言葉で魚住が、郷内ソラに対して恋愛感情を持ってなかったということがわかる。そして、魚住泉が愉快犯だということが理解できた。

 はた迷惑な性格だな…。

 コイツが死んだら、絶対俺は魂狩りにいかないぞ!心で誓いを立ててみる。

 そうしているうちに、魚住から漏れた言葉。



「でもね、サミエル副会長だけは、本気で好きで………たぶん、5年前から真剣にソラちゃんを欲しがっていたと思うんだ」

「そりゃ〜ね〜、今も変わらず取り巻きで居続けているのは、サミエル副会長ただ1人だもん〜、とーぜんでしょぉ〜」

 フムフム頷きながら、答える俺に魚住は、チッチッチっと舌を慣らし人差し指を振る。

「志似我先生ー、それよりも質が悪いんだよ、副会長は!」

「どうしてぇ〜?」

「『賭け』をあの2人はしているんだー」

「魚住クン、『賭け』って、どういうことぉ〜?」

 魚住は、一番いい笑顔で言った言葉を最後に学園から姿をくらます。

 俺に「これから先、面白そうだけどサミエル副会長を怒らせたら怖いかねー」っと、囁いた言葉が耳に残る。



 最後に魚住がくれた情報。

「サミエル副会長にソラちゃんは、3つ目の最後の願い事をしていたよー。何でも、これで勝負がついて、どちらかが、どちらかの願い事を聞かなきゃならない状況らしねー」



 やってくれる!たぶん、3つ目の願いは『アレ』か!?

 人は悪知恵が働くが、何がどうあれこの状況を乗り越えれば、俺達の勝ちになる訳だ!

 やってやろーじゃねーの!!



 まずは、眠り姫の御帰還!!何が何でも目覚めてもらうぞ、田伏萌葱!!


[後退〜♪][前進〜♪]

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あきゅろす。
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