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続・死神とダンス♪〜君を救う光〜
39.停学ですぅ♪

 萌葱はそれから深い眠りに落ちる。

 誰の言葉も聞きたくないのか、どんなに起こしても目覚めない。

 病院に行っても結局原因は分からなくて、とりあえず、寮の部屋で萌葱を眠らせることしかできなかった。

 萌葱の側には剛士がいる………僕は、自分の不甲斐なさを痛感させられる。



 嘆いていても仕方がないので、ゴウエンを動かし情報収集。

 しかし、これはうまくいってない。

 現在、人間であるゴウエンには、人の深い部分の噂を手繰る術はない。←姿消せないから。

 僕でも確認できる噂をいち早く聞く。そんなものを集めても、萌葱を悪く言う噂しかこの頃は流れない。

 真実を探ろうと、問題となっているサミエル副会長に張り付いてみたが…彼は何も言わず、見たこと聞いたことが本当だよっと、きれいだけどどこか含みのある笑みを浮かべて真実は語らない。



 それでは、このサミエル副会長×萌葱に一番悲しんでいるはずの郷内ソラの反応はどうしたかというと………。

「しのぶ!!剛士は、どこにいるんだよ!!」

 うるさく吠える郷内ソラに教室では嫌悪のまなざしが注がれる。

 どうらや、クラスメイトは萌葱を信じている者が多い。と、言うか、今の萌葱の状況に同情すら感じている。

 剛士×萌葱をみんな陰ながら応援していたからね。

「おい!おまえ聞いているのか!!」

 唾を飛ばしつつ、今にもぼくの制服を掴みかからんとする………訂正、もうすでに腕を掴まれている僕は、この状況を良しとしている訳でなくて、ついでに今回の件で、もうどこかに発散したい気分…。

 よし!この際、郷内ソラに当たらせてもらおう!



「はぁ!なんで僕に聞くのさ!そもそも、『剛士、剛士、剛士』って言うけど、君が好きなのは、萌葱だろ!!なんで、萌葱のことを聞かないんだ!!」

「えっ!?萌葱………萌葱は………。そ、それより、同室の剛士を心配するのは当然だけろ!!」

 え?当然か?

 普通、恋心を抱いている萌葱=同室の剛士を秤にかけたら、当然、恋心を抱いている萌葱に傾くはずだろ?

 僕が死神になっているうちに常識が変わったのか?…なんて、ことはなくて、クラスメイトを見れば、皆呆然として今の発言に憎しみの目さえ向けて者もいる。

 よし、どうやら常識は我にあり!て、ことで、郷内ソラに対する萌葱の感情をこの際、はっきりしてもらおう!



「郷内ソラ………お前、サイテーだな。お前、萌葱のこと何とも思ってないだろ?」

「そ、それは…」

「何?もしてかして、萌葱に告白でもすれば、色々お前にとって都合が良いことが、目白押しだったりとか?」

「っ!?………」

 僕の立て続けの質問に沈黙が下りる。郷内ソラからいつもの馬鹿みたいな笑みが消えた。

 教室では、皆、事の真相を知りたいのか沈黙し、僕等の様子を窺っているが、その表情は険しい。



 ここで委員長がすっと僕の隣に立ち、郷内ソラに言葉をかける。

 隠された真実…。不思議不思議の学園の七不思議にすらなりそうな真実が明らかにされる。

「郷内君、これまでの現状から考えてみて………郷内君の好きな人は、筒井君かい?」

「「「え゛っ!?」」」

 クラスメイトはもちろん僕もそろって声を上げ、郷内ソラを凝視!

 いやいやいやいやいやいやいや…(エンドレス)、それってマジ???………でも、ありえるかも?なんて、葛藤をみんなと共にしていると、言われた当人である郷内ソラは。

「な、何だよ!!みんなして…そーだよ、悪いかよ、おれは剛士が好きなんだ!!萌葱なんて!萌葱なんて!!」

「郷内君…。筒井君が田伏君を好きだから、いじめの目を田伏君に向けさせるためにあんなことを言ったのかい?」

 委員長の冷たい声………。

 そうだ、萌葱が郷内ソラに告白されなかったら、萌葱の苦労は少し減っていたはずだ。

 生徒会役員に目を付けられることもなく、それに追随するように親衛隊も激化することはなかったはずだ。

 郷内ソラが仕掛けた罠に何度萌葱は泣かされた?

 憎しみで頭が真っ赤に染まる。

 誰かの叫ぶ声が聞こえたのかも知れない。それでも、僕は止まらなかった。



 ガブッーーーッ!!

 教室に響き渡った音…。



 僕は、郷内ソラにかみ付いたことで、停学2日を言い渡される。←さて、しのぶ君はどこにかみ付いたのでしょうか?



「だって、僕…運動神ないからビンタはできなくて、かみ付くのが精一杯の報復だったんだもん」

 僕のこの台詞にゴウエンは盛大に笑ってくれた。


[後退〜♪][前進〜♪]

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