続・死神とダンス♪〜君を救う光〜
37.作戦変更ぅ♪
「ゴウエン…」
「しのぶ、何て顔している。あぁ、目を擦るな、こっち来い!」
ゴウエンの前に立つと冷たい手が目を覆う。
「作戦変更だな」
「うん。こっちが仕掛ける前に副会長と…たぶん、郷内ソラも出てくるなんて…」
夏休み期間中考えていた。副会長と郷内ソラの対応。
萌葱と剛士が夏休み期間中恋人、もしくは親友などという位置にいたなら、それを期に一気に郷内ソラを排除し、それとともに副会長をも…と、僕とゴウエンは考えていた。
予想では、郷内ソラに萌葱に対する恋愛感情はない。そうすると、郷内ソラは萌葱になにをしたいのか?
答えは、萌葱に嫌がらせしたいのではないのか?としか、結論しか出なかった。
『郷内ソラは、本当は萌葱が嫌いなのでは?』
これは、ゴウエンの考えだったけど、こればかりは当人に聞くしかわかるはずもなく、保留となっていた。
しかし、これでたぶん郷内ソラの本性が明らかになるはずだ。
「ゴウエンは、今までどこにいたの?」
「寮の建物から付かず離れず、情報収集。萌葱の件ならさっき噂を拾ったぞ」
「…真相はわからないけど、萌葱が副会長の部屋から出て来たのは事実だよ。獅子堂会長が萌葱を連れて来てくれたから…」
ほんと、副会長以外の生徒会役員が、改心してくれて助かった。
それに会長は、僕等の部屋を出る間際、サミエル副会長の親衛隊の動きが不自然だと教えてくれた。
生徒会役員しか入ることが許されないフロアーにいた、サミエル副会長親衛隊。
これは、仕組まれたと考えて良いはずだ。
「で、今萌葱は?」
「剛士に任せて来た。かなり2人とも動揺しているけど、任せたほうがいいと思って…」
「しのぶ、今回の副会長の動きは、完璧に郷内ソラが絡んでいると考えたほうがいいな」
僕は大きく頷いて、ゴウエンの手で覆われた暗闇を見る。
この暗闇の中に萌葱が見えた気がする。
身体を小さくして泣いている萌葱。
許さない…絶対、許さない。
「死神を舐めるなよ…」
僕の低い声の呟きにゴウエンが笑った気がする。
[後退〜♪][前進〜♪]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!