続・死神とダンス♪〜君を救う光〜
00.プロローグ。
6月上旬、空に厚い雲が立ち込め、日の光を覆ってしまう中、フェリー乗り場の切符売り場で真剣な顔をしている若い男性。
切符売り場の中年男性は、その表情に何かあると思うものの気軽に声を掛ける。
「本島に渡るフェリーに乗ってどこかに行くのかぃー?」
「はい。弟のところにちょっと」
そのあと切符を手に取る若い男性に、中年男性は呼び止める。
「ちょい待ちぃー、あんさん役場の田伏さんじゃろ?見たことあるよぉー」
「ええ、私も。あなたは、小杉さんでしょ?」
田伏は、数年前にこの小さなこの島に移り住んで来た。
その理由は、突然両親が事故で他界し、年離れた弟の心の傷を心配した田伏が、この小さな島に移り住むことを決め、役場に勤め始めたからだ。
小さな島だし人と人のつながりは深い。
そんな環境は弟にぴったりで、移り住んで良かったと思ったが、何分小さな島のため小・中学が一緒になった学校しかなかった。
高校は本島のどこにしようかと考えていた時、父親の友人から自分の経営する学園に弟を通わせないかいっと、誘いを受けた。
弟は躊躇うものの、兄である自分は二つ返事をし、弟を送り出す。
田舎では得られない、多くのものを学んでくるようにと…。
しかし、その願いは叶えることができない現実を知る。
「助けて、お兄ちゃん!!」
ケータイから響く、必死な弟の声…。
こんな声は、両親を亡くして以来。
助けなくては、弟には俺しかいないのだから…。
小杉は世間話のついでのように、これから悪天候になるのでフェリーの甲板に立ち寄らないように進言し、いってらっしゃーっとにこやかに声を掛け見送った。
フェリーに急いで乗っても仕方ないが、気が焦っている田伏は飛び乗るようにタラップを駆け上がる。
これが田伏にとって最後の旅路になるとも知らずに…。
[前進〜♪]
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