続・死神とダンス♪〜君を救う光〜
10.幻の弁当ぅ★
もしかして、あれほど不器用さんだと、開かずの部屋も破壊工作並に片付けることができるのだろうか?
そんな失礼なことをぼんやり考えていると、志似我先生が3人分のお弁当を中央にあるテーブルに並べていた。
お茶も手慣れた様子でさっさと用意してしまう、志似我先生。
何気なく見たお弁当は、購買部で幻の弁当とされている、地鶏を使ったそぼろ弁当。
えぇーーー!!確か、このお弁当、購買部の1日限定5食で、地鶏を使ったそぼろと卵のトッピングが絶妙だという幻の弁当!?
ぼくの心の絶叫をよそに、しのぶにいつの間にか強引に席に座らせ、箸を持たせる。
ここまでくれば、やけくそっとばかり幻の弁当にかじりついたけど、あまりにも驚きすぎて味わうことを忘れてしまった。
食事はつつがなく終了………てか、味わえて食べなかった、ぼくって馬鹿?
その後、そう言えばとか思うことは山ほど出て来る。
例えば、なぜ志似我先生は、なぜ3人分の弁当を用意していたのか?とか、臨時教員である志似我先生が、なぜこの場所にいるのとか?
疑問が顔に出たせいか、志似我先生は、ちょっと………少し気味の悪いしゃべりで、ぼくに答えを教えてくれた。
「しのぶがぁ〜、昨日の夜友達できたからぁ〜、明日の昼食は3人でぇ〜て、話しになっていたんだよぉ〜。名前も聞いているけどぉ〜、お互い、自己紹介しよぉ〜ねぇ〜」
このあと、お互い自己紹介して、最後に「しのぶと仲良くしてねぇ〜」と言われ、もちろん!の意味を込めて、高速に何度も首を縦に振る。
あと、この部屋は事前に志似我先生の部屋になることを学園側から言われていて、1日早く来ていた、しのぶに掃除をさせたそうだ。
結構チャレンジャーな先生だな…志似我先生って…。
これが素直なぼくの感想だ。
その後、午後の授業を受け…なぜか郷内くんも授業に参加していた。
郷内くんに授業を邪魔されつつも、必死でノートをとり、放課後に生徒会室に強引に連れて行かれそうなのをまたしてもしのぶに助けられ、逃げるように寮の部屋に帰ることに成功!
何週間ぶりだろ、放課後にすんなりここ(寮の部屋)に帰って来ることができたのは…。
思わず、素で涙を流してしたら、しのぶに笑われ、今置かれているぼくの状況を説明することにした。
これで、もし嫌われるようなら、今度はしのぶが離れる前に自分から…。
そんな気持ちで話した内容を、しのぶはただ黙って静かに聞いてくれた。
[後退〜♪][前進〜♪]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!