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続・死神とダンス♪〜君を救う光〜
08.ハイテクな学園生活ぅ♪

 今更ながら、自分が人間として生きていた時代が懐かしく………教科書が『ブックマット』っと、いう機械に変わっていることに違和感ありあり。

 ブックマットというのは、ノートくらいの電子教科書。

 中には2年生で使う教科書のほかに辞書機能や電卓機能、更には問題がわからないところなどを各教科の先生に聞くメール機能までついている。

 ハイテク過ぎる………。

 しかし、やはり教科書はハイテクでも、ノートの書き込みは必須のようで、僕は心の中でこれこそ日本の底力でハイテク化を求めたいっと、思っていた。

 寮の鍵も指紋認識機能がついていた。

 学生証も玄関前で指紋を確認し通れる。

 そして、これは食堂も同じで………。

 ………雪、僕、昔に戻りたいよ…。

 こっそり、人間であった頃の幼馴染に心の中で呟いておいた。(※雪こと小田桐雪次(おだぎり ゆきじ)は、しのぶの幼馴染。前作の登場人物です)



 さて、僕が郷内ソラに対して、疑問いっぱいだった『本当に彼は萌葱のことが好きなのか?』という、件についてだが…。



「萌葱、一緒に食堂に行こうぜ!!」

「ま、待って郷内くん、今日はぼく、ちょっと…」

「あ!また『郷内』って言った!!おれのことは、『ソラ』って呼べと言った!!」

「ご、ごめん、ソラくん………あ、でも、今日食堂に行くのは…」

「やっぱり、萌葱がいると安心するな!!萌葱、早くおれと恋人同士になろーぜ!!」

 郷内ソラは、そう萌葱に強く言うが、本心はどうかよくわからない。

 わからない理由としては、郷内ソラの取り巻きにも萌葱以上にお愛想を大盤振る舞いしているせいだと思うが………しかし、この何ともいえないこのコントはどうしたものか…。

 オチがないまま見続ける勇気がありません。



 萌葱を見れば、明らかに郷内ソラから離れたい空気を醸し出している。

 それに、郷内ソラについて来た、やけに顔の良い生徒1…2、計5名が、ぞろぞろ金魚のフンもどきにうしろから付いている姿は、かなりシュールだ。

 うん?てか、資料によるとこの美形軍団は、生徒会4名+どこからか郷内ソラが拾ってきた不良君(1名)だよね…。←不良は同室者です。

 当然、この5人は郷内ソラに惚れているはずで…現に萌葱はこの人達に睨まれて………うん?やっぱり、おかしい不良君は別に萌葱君を睨んでないぞ?

 あれ?どうなっているの?



 ゴウエンが1日がかりで調べた内容は、大雑把であるのは確かだ。

 現に報告書を読んでいた時に、「これが全てだと思わないことだ」とも言われた。

 うーーーん、あとで萌葱に確認をとるとしても、これを何とかすることも【彼】の願いでもあるはずだ。



 まぁ、とりあえず、オチもない劇場を繰り広げている2人に割って入るしかないよね。

 僕の最大の武器である全開笑顔付で。

「はじめまして、今日転入してきた、杉崎しのぶです。失礼だけど、同じクラスの人ですか?」

 萌葱の席の隣であることは把握しているが、さも君は誰だ的なことを話すと、案の定、郷内ソラはいらないことまでペチャクチャしゃべる。

 まるで、壊れたテープレコーダーのようなだ。

「えっ!あ、すげー美人!!てか、おれもここのクラスだ!てか、萌葱の隣の席でー、萌葱の恋人の郷内ソラ!ソラって呼べよ!」

 いつの間に萌葱と『恋人』になったんだよー!

 しかし、僕は必死にその言葉を飲み込み、以前、幼馴染の恋人がよくしていた猫かぶり全開の笑みを続ける。

「ふーん(←話をスルー)。郷内ソラ君、実はこれから萌葱と一緒に副担に呼ばれているんだ。だから、今日は萌葱を譲ってよ」

「え゛ええぇーーー!!!」

 郷内ソラの不満声が教室内に響き渡るが、ここでなぜか僕の笑顔で固まっているうしろの金魚のフン5名が現実に戻り、郷内ソラを宥めはじめる。



 僕はこの隙を見逃さない!

 萌葱の手を素早く取り、郷内ソラと金魚のフン達に気付かれないように気配を消しながら、見事教室から去ることに成功した。


[後退〜♪][前進〜♪]

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