男前なんかじゃない!!2
083.激入れ。bQ
「わぁぁぁぁーーー!!さすが、カイリ様!!」
「何か考えていると思ったぜ!!おう!一乗寺はイケすかねーが、今日はやってやるぜ!!」
「きゃ、きゃ、きゃ!!黄組は青組と手を結んだってことだよね!!ボクがんばって………赤組邪魔しちゃおぅ♪」
あとは、なぜか青組からも声援が上がり、先ほどの比ではないくらいの盛り上がり。
それにしても、カイリくん、これはどう解釈したらいいの?
カイリくんは、会長になるために立候補した訳じゃないの?ぼくのためって、ぼくはそれほど頼りない?
確かにぼくは頼りないと思う………けど、今回は自分でも頑張りたい。そして、なぜかな?カイリくんや仲谷くんと本気で戦ってみたいと思っているんだ。
ぼくがそんなことを考えているうちにぼくの番。この気持ち伝えることができるだろうか?
「次は青組団長、結城宗次郎君!!」
「………」
進行係りの声にマイクの前に立つが、ぼくはそのまま沈黙してしまう。
「結城君?」
マイク前で立ち止まったまま沈黙する、ぼく。
話したいことあるけど、うまく言葉をまとめられない………それでも、前回と違い自分のこの気持ちを素直に伝えるべきだと、顔を上げて話し始める。
「ぼくは会長になりたい」
出だしの言葉に生徒が沈黙する。これから勝負し会長を決めるのに、この発言は聞くまでもないとわかっているけど…。
でも、これがぼくの初めの決意で、そして、この戦いに勝つためにも生徒みんなに宣言したい!
「この勝負、だから絶対勝ちます!それは、カイリくんや仲谷くん、誰にも負けないということで………だから、カイリくん、黄組にそんなことをしなくてもいいし、それにぼく本気のカイリくんに勝ちたいから………」
これで、カイリくんに伝わるかな?
ぼくは、うしろに控えているカイリくんを振り返って見つめる。
じっとカイリくんを見つめていると、カイリくんは自分の頭をガシガシッと掻き、スッと立ち上がる。
スタスタスタスタッと軽快な足取りで、ぼくの側に来る、カイリくん。
表情を見ると、何となく苦笑いしているようで、怒ってないことがわかる。
ぼくはちょっとシュンッとしていると、カイリくんはポンポンと頭を叩き、「仕方がないなー」と小声で呟き、ぼくからマイクを奪う。
「さっきの黄組の激入れを撤回する!!宗次郎の言うとおり、フェアでいく!オレも宗次郎と本気で戦ってみたいし、オレのおこぼれで宗次郎が会長になっても宗次郎が喜ばないしな」
自嘲気味のカイリくんの言葉に生徒達もどこともなく、苦笑いが起きる。
どうやら、ぼくの気持ちが伝わったのかな?
このあと、なぜか青組とぼくと黄組とカイリくんの声援が起き、激入れは幕を閉じた。
一部、ステージ裏で騒いでいる人が一名いたが、それは必死に止める風紀委員のおかげで、支障をきたすことはなかった。
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