男前なんかじゃない!!2
bT(Side.風紀副委員長)
颯爽と歩き、僕達の前から姿を消す、結城会長。
逃げられたと思いはするが、現実についていけない僕は、とりあえず、これで良かったと胸をなでおろす。
まぁ、これも、明日までの話しだが、何となく明日が来ないことを願ってしまうのはなぜだろう?
これは一先ず、明日心身ともに疲れる事態にならないためにも、事前に弓に説明してもらうべきか…。
「オイ、柑橘トリオ!」
「「「はっひぃー!!」」」
「弓はここ(学園)にいるか?」
「た、たしか、街に降りるようなことは言ってなかったような…」
「「うん、うん」」
どうやら、柑橘トリオの情報だと弓は学園内にいるようだ…。
弓は、どうも街に降りるとなぜかケータイにでたがらない癖がある。
街に降りて、ケータイをとるといつも僕からのお小言が原因だろうと思うが、とりあえず、ポケットからケータイを取り出し、弓のナンバーを呼び出し押す。
が、出ないっというか通じない………いや、これはお話し中?
ピキッ!!
「「「ヒィィィィ!!」」」
弓が悪い訳ではないが、通じないことに思わず額に青筋が浮く。
「オイ…弓を捜せ!今すぐ、僕の目の前に連れて来い!!」
「「「はひぃぃぃ!副総長!!」」」
「馬鹿者!ここでは、『風紀副委員長』と呼べ!!」
「「「はひぃぃぃ!!」」」
僕の怒声に顔を青くしたまま、柑橘トリオは弓を捜すべく走り去る。
チェッ!根性のない!あれでも、ダークのメンバーか!!
そのうち暇があったら、根性を入れ替えてやる!!
心の中で吐けるだけの毒をはいて、僕は風紀室で弓を待つことにする。
歩く道すがら、ふと弓の顔がチラついた。
もしや、弓は結城会長の『アレ』を知っているのではないか?
………自分の考えながら、外れていない気がする。
きっと、結城会長の『アレ』を知りつつも、僕達に教えなかった理由は、僕達が慌てふためく姿が見たかったとか、轟に踊らされているのを馬鹿にしたかったとか………これ全部だな…。
「弓、コロス…」
僕の呟きは、誰もいない廊下にやけに響いた。
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