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男前なんかじゃない!!2
005.問題児。

 ぼく等が生徒会室でそんな穏やかな空気で仕事を続けていると、突然ノックもなく、生徒会室の扉が開く。

「よっ!ソウ、元気にしてっか?」

 左手をさっと上げ、風紀委員長の蘇真弓(そま ゆみ)先輩が生徒会室にやって来た。←真弓先輩は3年1組。

 真弓先輩は、金髪の髪に耳には大量のピアスという風紀委員らしからぬ風貌だが、学園の生徒に慕われ、更には喧嘩が強いことから素行の悪い生徒からは、恐怖の風紀委員長としても有名だ。

 ぼくは、先輩のこと真弓先輩って言っているけど、そうなった原因は、出会った時真弓先輩の名前を区切るところを間違えて覚えちゃったから。

 その後、真弓先輩の許可が下りたので、この呼び方になっています。



 真弓先輩が来ると仕事が進まないのがわかるのか、卓磨先輩は一つため息をつくと「休憩ですね…」と、皆に声を掛ける。

 いつもは、休憩号令はスイちゃんだけど、今日は転校生を案内しているスイちゃんに変わり卓磨先輩の号令になっています。

 何気にスイちゃんの休憩号令は、「皆さん、蘇真先輩が来ましたから休憩にしましょう」と、穏やかな空気になるはずなのに、なぜか卓磨先輩の号令から副音声が聞こえてくるんだよね。

 『邪魔だ、こっちくんじゃねー。さっさと風紀室に帰りやがれ』…みたいな感じで…。

 何で、同じ休憩号令のはずなのに違って聞こえるのかな?



 ぼくがこんなことを考えているうちに、うっちゃんがみんなの分の紅茶を用意していて、さっくんが生徒会室にあるクッキーを持って来てくれる。

 このクッキーは、ぼくの手作りです。

 甘いものが好きではない人もいるけど、ぼくのクッキーはいつも好評で、今日のお茶菓子のチョコチップクッキーとバタークッキーもみんなおいしいって食べてくれます♪

 本当は、うっちゃんの紅茶とぼくのアップルパイのコラボ目指しているんだけど、さすがに学園にパイをぼくが持ち歩いていると不審に思われる………なんて、みんなからまたしてもダメだしされ、いまだにコラボできていません。ぐっすん。←寮内ではコラボできるかと、宗次郎は思っていたが色々皆さん忙しいようで実現はされていない。



 皆生徒会室にあるソファーに座り、ついでとばかり風紀と連携の仕事の確認をしたりしながら、まったりお茶とクッキーを食べて寛いでいる。

「そう言えば、葉山の奴もうそろそろ戻って来るか?」

 真弓先輩の言葉に皆一斉に壁時計を見る………5時、そろそろスイちゃん戻って来きてもいい時間だ。

「蘇真、もしかして、葉山に転校生のことを聞くためにここにわざわざ来たのか?」

「たりめーだろ。『問題児』………その言葉を聞いただけで、風紀室の空気は今ピリピリしているぜ。で、風紀副も気になるようで、俺に珍しく生徒会に探りをいれろっとさぁ」

 カイリくんの質問に真弓先輩は面白そうにニヤニヤ笑って答えるが、風紀副委員長は真面目が取り柄で、いつもなら真弓先輩が生徒会室に行くたび止める側のはずで………。

「転校生、気になるね?去年のぼくと同じ感じだし、仲良くできるといいなー。早く会いたい―――」

「「「ダメだ(です)(だよ)!!」」」

 ………ぼくが最後まで言うまでに皆に止められる。何で?

 たしか転校生君の転校理由は、『校風に合わず、いじめに合い登校拒否になったため転校』って、書いてあったよね。

 写真を見たけど転校生君は、茶色のモフッとした髪型、目はモフモフの髪で見えなかったけど厚い眼鏡をかけて、ちょっとどこかの科学者みたいな感じ。でも、不良君じゃなさそうだし、お友達になれると思うんだけど…。



 その後、皆総出でぼくに「転校生に近づくのは、様子を見てからにして」と、説得された。

 どうして、ぼくだけなぜか転校生君に近づいては行けないんだよ!ぼくはプッーと頬を含ませて不満を示したんだけど、最終兵器の「もし、転校生に近づいて本性バレてもいいのか?」て、言われたら………「はい…大人しくしています」て、答えるしかないよね。



※宗次郎は、風紀副委員長が真面目でいい人だと思っている。が、実態は………人物紹介で確認して下さい。


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あきゅろす。
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