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男前なんかじゃない!!2
080.スイちゃんの憂鬱。

 競技は色々あったが、ぼくが出る競技はリレー1本になった。

 これは団長であるぼくと副団長のスイちゃん、あと、青組の運動部の主だった人が集まり協議した結果だ。

 結構色々な意見が飛び交ったとこは省くが、ぼくは、リレーだけでもう手一杯で…申し訳ないけど、お断りした。

 でも、そのため、スイちゃんにぼくの分の負担がいって、かなりドキツイ競技に名が記されていたような気が………スイちゃん、頑張って!



「実は1年前もですが、今年もなかなか素晴らしい競技に私は出ることになって、今から憂鬱な気分なんですよね…」←1年前と同じ展開だったようです。

 ソファーで抱き合ったままの状態のぼく等。スイちゃんの声には覇気がなく、ぼくより明日のことで落ち着きないっというより、競技に出たくないと思っているみたい。

「えっと、スイちゃんの出る競技は―――」

「『借り物競争』と言う名の暴露競争。『障害物レース』と言う名のお触り解禁レース。あと、『騎馬戦』と言う名の私物の奪い合い………あとは普通の短距離と中距離ですね」

 ぼくの言葉を遮るように言う、数々の怪しげな競技…。



 スイちゃんの出る競技(※ぼくの分も、スイちゃんに行うことになっている)の説明をします。

 『借り物競争』………指定された物や人を持って来ればゴールなんだけど、四ツ谷学園では、なぜかゴール前にマイクを向けられ、インタビューされます。

 いや、別にインタビューは普通なら問題ないけど………悪ノリしている体育祭実行員は、色々質問してきて、答えられないとゴールできないようにしているので…ね。

 『障害物レース』は、色々な障害物がある。平均台とかパン食いとか。で、ここまでは普通だけど、中には人間が障害物になっていて…。

 『障害物レース』には暗黙決まりごとがある…。それは、人気のある生徒限定競技ということ。

 で、皆さま障害物となる人物、わかりましたか?………正解は、競技に出場する人の親衛隊とかファンの皆様………何気にお触り解禁なんてことになっている。

 『騎馬戦』もなかなか厄介なものです。普通は、頭のハチマキを奪えばアウト!と、なるのだが、ここでは、上に上がっている人は、ハチマキ以外も用意されている。

 余計な両腕のハチマキ………ちなみにこれを取ると、ハチマキに書かれている行動を取られた人物にしなければならないが、そこに書かれていることは。

 『キスをする』←場所指定はかろうじてなし!

 『食堂で一番高いものをおごる』←金持ち組なら支障ないが、庶民にはキツイ。

 『生徒会役員の私物をもらって来る』←要するに特攻かけてもらって来い!って意味らしい。

 などなど、かなり犯罪ギリギリのご褒美があったりする。



「ガ、ガンバローネ、スイチャン」

「………」

 完璧に棒読みになっているぼく…。何気にスイちゃんの顔は見えないが、その沈黙が怖いです。

 チン!

 ここでタイミングよくオーブンが鳴って、スイちゃんはぼくを抱きしめる腕を離すが………スイちゃんの顔が、無表情になっていました。

 まさか、仲谷くんに向けられる表情をぼくが味わうことになるとは!?



 その後、ぼくは当然スイちゃんに平謝りし、且つ、フルーツケーキでご機嫌上昇に勤めました。

 怖かったよ〜!!

 ちょっとだけ、スイちゃんのあんな表情を向けられても平然としていられる仲谷くんを尊敬しちゃいました!


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