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男前なんかじゃない!!2
078.本番直前。

 体育祭を明日に控え…。最終調整ということで、グラウンドを使用しています。

「オッケイです!結城君!!」

「きゃ〜素敵です!結城様♪」

「お疲れ様〜!」

「よく、頑張ったな、結城団長!」



 最初の掛け声は寛治くん。

 ぼくは、ようやっと、合格点がもらえるまで成長したことに感動し、震えている。

 その様子に、心配げにしていた青組のみんなもぼくにねぎらいの言葉をかけてくれる。

 スイちゃんにタオルを渡されて、汗を拭きながら白線が引かれたグランドを見渡す。



 練習して早1週間。長かったような…短かったような…。

 寛治くんの指導方法は、驚かされるものがあったが、当然と言えば当然のことで…今更ながら、ぼくは、勉強はできても応用力をいかせきれなかったことを猛省しています。

 成長期前は確かに運動神経が…残念だった、ぼく。しかし、成長後は努力すればそれなりに改善されることを理解していなかった。

 140p台の身長→180p台の身長。これでわかるとおり、身体的なこと、足の長さとか、体力的なこともだいぶ変わるはずなのに、ぼくは努力を怠った。



 寛治くんに言われてから、スライドを長く、足の上げ方も高くした。

 意識すると、今度は腕の振りが固くなるので、自然に自然にを心がけていると、いつの間にか、ゴールするまで転ばなくなったし、何だか速くなってきているような?

 もともと、家族は運動神経が抜群。

 父はアメフトをしていたし、母はバレーボール部。兄だってバスケをしていたし、姉もモデルをしているが、運動神経は抜群だ。

 そんなDNAをぼくもしっかり持っている訳で、あっという間に…とは、いかなくても人並みより程度に足は速くなった………気がする。



「人間やれば、これほど成長するものなんですね」

 ひっそり、卓磨先輩に呟かれた言葉。

 努力することを忘れていたぼくには、痛い台詞です。思わず「すいません…」と、頭を下げる。

「成長を止め、騒ぎまくるしか能のない奴よりはマシですよ…」

 卓磨先輩が見つめる先には、激を飛ばしているのか、仲間を貶しているのかわからない、仲谷くんの声。



 練習最終日ということもあり、赤・青・黄組は合同でグラウンドを使っているのだが、一番うるさいのは赤組。

 と、言うより、赤組団長の仲谷くんが1人でうるさくしている。隣にいる奥村くんは以前のスポーツマンらしい表情は見られず、相変わらず顔色が悪い。

 体育祭とて、生徒会の仕事はあるはずだから、忙しいのかな?でも、体育祭のイベントがある分仕事量は少ないはずだけど…。

 うーんっと、腕組みしつつ考えていると、卓磨先輩が向こうのことを気にするより、今は青組として頑張りましょうっと言われ頷く。



 スイちゃんが練習は終わりにしましょうっと、声が上がるとお互い近場の人に「お疲れ!」とか、「明日は頑張ろう!」って、声が上がり、お開きになる。

 まだ4時台で、走りが心配なぼくはもっと練習を続けたかったけど、前日は身体を休めることも必要だと、みんなに諭されて、スイちゃんと共に寮に帰る。


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あきゅろす。
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