男前なんかじゃない!!2
077.カイリくんの思惑。
体育祭………地獄の行事。←ぼく的に。
だったはずだが、ぼくは青組団長となり、青組の中には副団長であるスイちゃんをはじめ、卓磨先輩、寛治くん、望くんがいたりする。
うっちゃんとさっくんは、カイリくんの黄組となったが、「「良かった〜、枯葉頭じゃなくて〜☆★」」となぜか胸をなでおろしていた。
黄組副団長であるはずの北瀬くんが、ぼくを鋭く睨み「頑張って下さい!!」って、言われた時は、なぜか殴り込みを掛けられると勘違いして、合気道で投げ飛ばしたけど………北瀬くんは、とってもいい人で、痛めた腰を擦りつつも許してくれた。
だって、北瀬くんの眼力が、とても只人と思えないほどの迫力があったから〜。
この行動にカイリくんは大爆笑で、その後、なぜかぼくと北瀬くんを対面方式に座らせる。
「宗次郎、こいつは使える。自分のことに自信がなくて、それでも生徒達のことを何とかしてやりたく思っている。1年前の宗次郎だ」
「「………」」
カイリくんの言葉にぼく等は『どこが〜!?』と、お互い見つめ合うが、カイリくんはやけに自信があるようで…。
「風紀は、なぜかこいつを見誤った。スカウトに来ても見抜けず放置。宗次郎、どちらが生徒会会長になっても、北瀬は生徒会が確保するぞ」
「ウエェーーー!?」
これに驚いたのは、ぼくではなく北瀬くん。
ぼくはカイリくんの言うことなら、信じられるし、何となく北瀬くんの行動は、信用できるものと確信が持てた。
唖然とする北瀬くんを置き去りに、カイリくんはぼくの耳元に小声で話し掛ける。
「宗次郎、オレ達の次の生徒会会長候補は、北瀬だ。コイツならオレ等の意志を継ぎ、この学園をより良くしてくれる」
ぼくはゆっくり北瀬くんを見つめる。確かに、1年前のぼくより北瀬くんなら…と、思う時がある。
一所懸命に不良外見ながらも頭を下げ、指導を仰ぐ姿勢。それだけでも、生徒のことを思っているのはわかる。
きっと、1年前のぼくより会長職が似合いそうだけど………でも、この眼力がね………。
北瀬くんは、驚きのあまりぼくとカイリくんに鋭い視線を送っています。ぼく、ちびりそう…。
カイリくんと北瀬くんが、黄組の練習に戻る際、カイリくんがニヤリっと笑い。
「北瀬は、目つきが鋭くて不良に見えるが、実は―――」
最後の台詞にこの場にいたスイちゃんや卓磨先輩、うっちゃんやさっくん。そして、青組で聞き耳を立てていた人達が、あんぐり口を開けたまま沈黙してしまう。
その姿に北瀬くんは、眉をギュッと寄せより凶悪顔に…。
カイリくんは大爆笑しながら帰って行った。
「実は、中身はかなりヘタレな平凡クンだ」
予想していなかった、カイリくんの言葉………。
誰が想像できただろう?
『あの顔で〜〜〜!?』
その場にいた誰もが思った台詞だ。
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