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男前なんかじゃない!!2
072.意外な副団長。

 団長候補締め切り2日前ということで、放課後、学園側から団長候補者の名前が次々と掲示板に張り出されていく。



◆◆◆◆◆

 ◎団長候補 1年3組 仲谷光輝(なかたに こうき)/副団長 1年1組 奥村聡(おくむら さとし)

 ◎団長候補 2年1組 一乗寺カイリ(いちじょうじ かいり)/副団長 1年3組 北瀬須王(きたせ すおう)



 ※会長候補及び副団長に3年生はいません。競技には参加します。

◆◆◆◆◆



 この掲示板にみんなはビックリ!

 何がビックリかって?それは、カイリくんが団長に立候補したことより、カイリくんの副団長が、北瀬くんだったからだ。

 前生徒会や現生徒会は、北瀬くんが、カイリくんにくっついて何やらしているのは知っていた。が、北瀬くんは、仲谷会長に惚れているはずで…て、ことで、なぜにカイリくんについているのか?

 そんな疑問がいっぱいで、噂は瞬く間に学園中に広がる。



 ぼくも学園のみんなと同じくらいビックリしている。

 しかし、ぼくの場合は、カイリくんが団長候補になったことのほうで…。

 カイリくん…一乗寺グループ次期会長。

 四ツ谷学園中等部では、生徒会会長を務めていたし、カイリくんが、出るならぼくなんて…。

 そう決心しようとしていた。



 鞄を手にしスイちゃんに帰ろうっと声を掛ける前に、ぼくの目の前にカイリくんが立ちはだかる。

 スイちゃんは、カイリくんの行動に慌てることもなく、ぼくの身体をカイリくんに押し付け、「よろしく」なんて、鮮やかな笑みを見せながら去って行った。



「「………」」

 お互いなぜか無言で、この状態にあるぼく等にクラスのみんなは何かを感じたようで、素早く帰り支度し足早に去って行く。



 ぼくに用があるのは、カイリくんのはずなのになぜかぼくの言葉を待っているような気がする。

 でも、何と言えばいいのだろう?

 体育祭、会長選頑張ってね!………そう、笑顔で言えばいいだけのはずなのに、どうしても喉に何か詰まったように声が出なくて…。



 カイリくんなら、この学園を正しく戻せるし、みんなもついて行くと思う。

 そうだよ…。もともと、ぼくなんて会長にふさわしくないし、カイリくんに任せれば…。

「宗次郎、会長選に出ろよ」

「カイリくん…」

 まるで心を見過ごされたかのような台詞に、カイリくんの名前を言うのが精一杯。

「今、この学園は蘇真の風紀委員で持たせているようなものだ。でも、蘇真は、体育祭が終われば風紀を引退。もちろん、次の風紀委員長は蘇真が選ぶから、それほどの混乱が起きないが…。生徒会がこのままだと…」

「で、でも、カイリくんが体育祭に勝てば、きっと学園は元の状態に戻るよ。ぼく、カイリくんのこと―――」

 『応援するよ』………次の言葉がでない。なんで!

 唇を動かすけど声が出ない。口を何度もパクパクさせ…それでも声が出なくて、唇をグッと噛みしめて下を向く。



 額をコツンッと指で弾かれた。

 そんな行動をするのは、この場にいるカイリくんしかいなくて、恨みがましく見つめると、嫌に真剣な表情をしているカイリくんがいた。

「宗次郎、思ってもいないことを話そうとするな。それに、もう答え出ているんだろ?」

 その言葉にぼくの目から涙が溢れる。


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