男前なんかじゃない!!2
004.気になる転校生。
6月下旬。
理事長の言っていたように転入生が、今日この四ツ谷学園にやって来る。
去年のぼくを思い出すなぁ〜。
あの時のぼくは、緊張いっぱいの中、『クールキャラ』を一所懸命演じていたっけ。
去年、ぼくこと結城宗次郎(ゆうき そうじろう)は、急激な成長期にともない色々な恐ろしい経験をし、女性恐怖症になった。
原因としては、成長前は『かわいい』といわれる人種だったのに、成長後は『男前』と呼ばれる人種に変貌。
そのため、当時同窓生のお姉さんにいつのまにか喰われてしまい、それがトラウマとなって家族以外の女性には近づけなくなった。
そして、ぼくは地元の高校からこの四ツ谷学園に転入して来たのだが、ここでは、騒がれず平凡に暮らす計画だったので、兄&姉の指示どおり『クールキャラ』で過ごしていた。
が、ここで、なぜか生徒会会長候補になってしまい………しかも、当選してしまう。
そのうち、生徒会役員全員と風紀委員長にぼく本来の性格がバレ………一部の人に惚れられ………ぼくは好きな人ができた。
今ではぼくの恋が実って、スイちゃんという恋人がいたりします。テレテレ。。。
スイちゃんの本名は、葉山翠(はやま みどり)本当は、『翠』=『みどり』で『スイ』と読まないのだけど、ぼくは勘違いしたまま、そう呼んでしまっていた。
今では、本人の了承でこのままスイちゃん呼びしています!
ぼくは2年生に進級し、現在も四ツ谷学園の生徒会会長で、スイちゃんは副会長を務めている。←ぼくとスイちゃんは2年1組。
四ツ谷学園では、ぼくとスイちゃんの仲は知られていて、生徒達公認のラブラブカップルって、ことになっています!
思い出に浸っていると、時刻は、ちょうど4時。転校生くんは、そろそろスイちゃんと校門で会っている頃だろうか?
本当は、ぼくが迎いに行こうとしたのだが、なぜか生徒会役員全員に止められた。+風紀委員長の真弓先輩まで一緒になって止められた………。
と、言うことは………は!もしかして、ぼくが案内すると『迷う』と、でも思われたのだろうか?
迷う…なんて、王道転校生(←これは、宗次郎の姉の知識)でもあるまいし…そんなことないって、今度みんなに強く言っておこう!
ここでは、絶対に迷子にならないと断言できる。理由はこの学園に来る前、死ぬほど学園の地図を兄姉に勉強させなられたから。
転校生くんは、理事長の甥っ子さん。
今年高校1年生で、ここ四ツ谷学園の兄弟校、三ツ谷学園の共学の学校に通っていたのだが、諸事情により転校することになったそうだ。
何となく、ぼくと同じ感じで気になる子だよね。学年は違うけど、友達になれるといいなぁー。
ぼくがそんなことを考えていると、生徒会役員のみんなからは、苦笑いとも言えない言葉が投げかけられる。
「宗次郎、転入生………いや、それより、葉山が気になるのはわかるが、手が止まっている。その資料は風紀行きだから、さっさと終わらせろ」
こう、声を掛けてきたのは、会計の一乗寺カイリ(いちじょうじ かいり)くん。←カイリくんも2年1組。
「会長、何なら手が止まらないように、私の仕事をまわしましょうか?」
1枚、2枚っと紙を数えている、書記の二条卓磨(にじょう たくま)先輩に慌てて、「いりませーん!!」と、叫び自分の書類に手をかける。←卓磨先輩は3年1組。
その姿に双子の生徒会補佐のうっちゃん&さっくんこと、宇都宮右京&左京(うつのみや うきょう&さきょう)が声を立てて笑っているので、ぼくも一緒に思わず笑ってしまう。←双子は3年1組。
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