男前なんかじゃない!!2
071.頑張れ。
『迷いを振り切る方法』
そんなのある訳ないじゃん!って、思っていた。
でも、それは違っていて、案外簡単に迷いは振り切れるもんだなーと、感じる瞬間。
10月10日、旧体育の日が体育祭と言う名の生徒会選挙日。
団長が会長候補。そして、副団長が副会長になるのが学園で決められていること。
只今、候補者締め切り3日前…。いまだぼくは迷っていた。
ドキドキハラハラ。
これは別に心トキメク台詞ではないが、学園内では、ぼくの行動にみんな注目しています。
ぼくの一言…「団長に立候補します」、この台詞を期待する眼差しが、日増しに多くなっている気がする。
ぼくが、昨年会長になった原因を作った、寛治くんと望くん。
廊下でばったり会ったら、望くんは応援したいけど、無理強いはできない…なんて、動揺を身体でバタバタ表現したあと、「が、『頑張って』っと言ってもいいですか?」と上目遣いに訊ねてきた。
言いたいことは、わかっている。
団長になって欲しいけど、悩んでいるぼくを気遣って…どちらに転んでも『頑張れ』と、言いたいのだろう。
「ありがとう…」
嬉しくて、ニッコリ笑って言うと、望くんは顔を真っ赤にして寛治くんのうしろに隠れる。
そして、寛治くんからは。
「結城君、もし団長になったら一緒の組になりたいです!あの時のことがなかったら、俺、いまだに体育祭で転んでことを引きずって、大会で良い成績を納めることはできなかったから…」
寛治くんは、去年の体育祭のあと、陸上短距離の新人戦で、全国大会に駒をすすめ、上位入りしている。
そして、今年の高体連では全国大会に行き、100mでは2位になった。
来年は優勝だー!なんて、陸上部グランドから上がる声にテレて頭をガシガシ掻いている寛治くんを見かけたことがある。
こんなに思われている。
会長職を降ろされ、胸にポッカリ空いた穴に心暖かな言葉を言われる度、塞がって行く。
しかし、ぼくが踏み出す力には、まだ少し足りないんだ…。
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