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男前なんかじゃない!!2
068.漫画研究部。

*****

 漫画研究部………ぼくが、会長になってから、一時廃部案が持ち上がった。

 ここ四ツ谷学園は、お坊ちゃま学校。

 一部、庶民もいるが漫画家になろうとする者いず、次期会社社長やそれなりの地位になる予定の人が、漫画研究部があるのはおかしいとの意見が出て、廃部になりかけた。



 結果的にそれを救ったのは、ぼくだ。

 木村部長は、泣きながら自分は漫画家になりたいが、長男のためそれもいかず、それなら部活動だけでいい、絵が下手でも続けたいと…。

 実は、漫画研究部が廃部になりかけた原因は、部員数ではなく絵の下手さだった。

 活動もその絵の下手さゆえ、学園内では何もしておらず、根暗部と言われ批判が出ていたのだ。

 しかし、部員達は学園内の批判もなんのその、なぜか熱く、どのように絵の下手さを改善させるか!なんて、ホワイトボードいっぱいに書き込み、対策を考えている勉強熱心な部だった。



 そこで、ぼくは考えて…考え抜いて、一つの解決方法を見つける。

 これは誰の手も借りず行った。

 生徒会内部では、廃部案にかなり傾いていたし、ぼくが協力しても効果があるかわからなかったから…。

 しかし、ぼくの考えはドンピシャで、漫画部は廃部から逃れる。



 ぼくが使った手は、美術部に指導を仰ぎに行くこと。

 一気に漫画研究部が美術部に押しかけては、迷惑にするかもしれないので、数名ずつ交代制で美術部に絵の勉強に行く。

 この時、美術部も快く引き受けてくれて、こうして指導を仰ぐうちに漫画研究部は、短期間に自信をつけ、一本の漫画を学園内で発表する。

 まだまだ絵は荒かったが、物語の内容は素晴らしいものがあり、短編ながら学園内で感動作とまではいかないが、漫画研究部ここにあり!というのを示した。

 このことが結果的に、漫画研究部を救うことになった。

*****



 徹夜続きで漫画を完成させ、いの一番に持ってきた木村部長を僕は今も覚えている。

 寝てないのが明らかにわかる目の下の隈、髪はバサバサで服にはトーンがあちこちついていて………それでも、うれしさいっぱいの眩しい笑顔で、一冊の漫画をぼくに手渡す手の震え…。

 きっと、かなり緊張していたのだろう。

 素で「おめでとうございます」と、笑みを浮かべると、廊下で大泣きした木村部長。

 それが、今あの時より緊張いっぱいで、ぼくを真剣に見つめている。



 木村部長に椅子にどうぞと促され、着席すると、すかさずガバリッと頭を下げられた。

「お、お願いします!体育祭の団長になって下さい!」

「えっ?」

「他者の推薦になりますが、僕の漫研部とあと美術部、茶道部、天文部、調理部、えーと、あとあと…」

「ちょ、ちょっと待て下さい!」

 慌てて止めました。なんで、こんな急な展開になっているの?

 体育祭の団長にぼくに推す理由が、よくわからなくて話しを止めるが、木村部長はいつの間にか顔を上げ、涙を流した状態のまま、懇願するように話し始める。


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あきゅろす。
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