男前なんかじゃない!!2
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高校時代から自他ともに認める一番の結城の理解者、そして親友の地位にいた奈留人。
しかし、高2の春その地位を脅かす…と、いうか、結城に惚れ周りをうろつく空也に何かと対抗意識を燃やしていた。
それが再発した訳ではないが、空也の息子の嫁になどするなら、ならば!!っと、思ってしまった奈留人は、結城の『息子』と知っているはずなのにエキサイトしてしまう。
「結城!!一乗寺の息子の嫁にするくらいなら、私の息子の嫁になって下さい!!幸い、私の息子は自分が言うのもなんですが、よくできた息子で柔らかい物腰、理解力も大人顔負け。何より、宗次郎君より3歳年上できっと将来美男美女のカップルになると思うんです!!」
『いやいや、その前に英次の子供も空也、奈留人の子供も息子で…結婚など無理だから!!』
会場にいる人達の心の声がなぜか重なった気がする。
しかし、それに気づかない2人は、長年の恨み?というような発言を繰り返すことになる。
「そもそも、幸江田、お前、英次先輩の親友だか何だか知らないが、いつもいつも人の恋路を邪魔しやがって!!」
「私が何も言わずとも、一乗寺はいつも結城に振られていたでしょ!全て私のせいにするのは止めて下さい!!しかも、宗次郎君を狙うなんて!!私がいるうちはそんなこと許しません!!」
「はっ!そんなの幸江田には関係ないね!英次先輩に許しをもらえば、カイリの嫁は宗次郎君だ!!」
「一乗寺息子の嫁にするくらいなら、私の息子の―――」
「イイカゲンニシロ………」
2人のそんな舌戦に地獄の窯から湧き立つ声が上がる。
「結城…」
「英次先輩…」
あまりにも低い声のため一瞬誰の声か判断できなかったが、背後に明らかに黒一色の背景を背負わせている英次に奈留人や空也はもちろん、会場内全体が凍り付く。
確実に10度は低くなる会場。『鳳凰の間』などというネーミングより『極寒の間』というほうが似合いのような状況に皆、顔を青くする。
そして、この空間を作り出している張本人である英次は………。
「だぁーれぇーが、ソウちゃんの婿になるってぇーー!!」
低音、しかも心の底からの言葉。いつもの男前の表情は変わらぬが、あからさまにそれプラス怖い笑み。
背景が地獄絵図にしか見えず、奈留人と空也は後ずさり青ざめるが、それは周りも同じ。
『早く謝ってしまえぇぇーーーー!!』
周りの気持ちは一致団結したようになるが、それをそう簡単に許すはずもない英次は…。
「奈留人、空也、短い付き合いだったな。これからは<ただの知人>(←強調)として、俺の周り…特にソウちゃんの半径5キロ以内に近寄ることを禁じる!!」
「ちょ、ちょっと待って下さい、結城!!」
「英次先輩、それはないですよ〜〜〜!!」
「聞く耳持たん!!」
英次の烈火の怒り。
それが鎮火したのは、宗次郎が女性恐怖症になり、転校することになった時…。
その期間、奈留人と空也は、結城家の人々の側に近寄ることはもちろん、言葉を掛けてもらえなかったとか…。
『男前』の同窓会 END
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