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男前なんかじゃない!!2
064.ダンディなおじさま達。bQ

 委員長さんが涙を流しながら、ワッフル屋さんの掃除をみんなに指示している時、ぼく、スイちゃんカイリくんは、3人のダンディなおじさまに囲まれワッフルを頬張っていた。

 一乗寺親子は、甘いものが好きではないようで、お茶のみ。

 まったりとした空間と言いたいとこだが、たまにアル人から鋭く睨らまれてるスイちゃん…珍しくオロオロしています。

 睨んでいるのはカイリくん父、空也さんだが、そのたび、ぼくの父さんが笑顔で注意している。まぁ、注意されてもなぜか空也さんが嬉しそうなのは、スルーします。



「でも、どうして父さんが来たの?ぼく、文化祭のことは知らせたけど、誰も来るようなこと言ってなかったのに…」

「去年は、宗ちゃんが文化祭に出るのは絶望的だと思ったけど、今回は去年と違って心強い義理の息子(予定)と友人達もいるから、もしかしたら、出ているかな?ってね」

 ぼくの質問に父さんはニッコリ微笑み答えるが、「義理の息子(予定)」に思わずスイちゃんを見てしまう。

 スイちゃんは父さんの言葉に少し照れているようだけど、次の瞬間、空也さんの鋭い視線を感じまたしてもオロオロする。

「翠君、気にすることはないよ。ちょっと空也は、親馬鹿が入っているだけだから」

「えっと、それは…」

「うん、君の予想通りだと思うよ。ごめんね、あとで空也には注意しておくから」

「い、いえ…」

 意味深げにぼくを見て話す、父さんとスイちゃん。訳がわからなくて首を傾げていたら、空也さんがデジカメを取り出し、パシャリっとぼくを撮っていました。

 うーーーん、何かよくわからないけど笑ったほうがいいのかな?



 こうして、よくわからない状況中数分間話しをしていたら、教室の扉が開き卓磨先輩が現れる。

 剣道部に所属していただけあって(現在は引退している)、姿勢正しく歩く姿に皆みとれるが、注文を取りに来る生徒を見ると右手を上げて断る。そして、近づく場所はもちろん。

「空也様、そろそろお時間です」

「チッ、アイツがここに来なかった理由は、息子に見張りを頼んでいたからか」

 舌打ちする、空也さん。

 どうやら、空也さんはお仕事のようです。

 当たり前のようにここに溶け込んでいるけど、世界を股にかける企業、一乗寺グループの会長さんだった。すっかり忘れていたが…。



「空也、そろそろ二条に迷惑かけるなよ」

 父さんの言葉に卓磨先輩と知り合いなの?っと、聞いて見ると、父さんは苦笑いしながら説明してくれる。

「『二条』とはそこにいる息子さんのお父さんのことだよ。二条とは年齢が離れていたから一緒に学園で会うことはなかったが、仕事で知り合ってかなりの好青年だったからね」

「むぅーー!英次先輩!それは聞き捨てなりません!アノ馬鹿は英次先輩の前で『年下でーす、可愛がってください』オーラを全開にしているだけで、全くむさっ苦しいおっさんです!」

 空也さんの言葉に皆吹き出す。

 失礼かもしれないけど、父さんをはじめ理事長も空也さんも立派な『おじさん』ですから…。


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