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男前なんかじゃない!!2
062.文化祭最終日。

 3日目………ぼくはモーレツに震えております。

「結城君、大丈夫?」

 クラスメイトの心配げな声に「ひゃい!」と、返事すると、苦笑いされつつエプロンを渡された。

 うぅぅー、女の子が!女の子が、来るよ〜〜〜!!

 激しく心の中で叫ぶと、スイちゃんがぼくの心情を察して手を握ってくれる。はぅー、落ち着く。

 しかし、落ち着いていられたのもここまで!厨房は戦場と化していく…。



 2年1組の目玉ウエイターは、スイちゃんとカイリくん。

 今日、カイリくんは生徒会に行くことはないって、太鼓判押していたら、委員長は大喜び。

 で、2年1組には、見目の良い生徒がかなりいる。一番目立つのは上記↑2名だが。

 もちろん、中には可愛い子もいる。そんな子達が執事の恰好をしている姿は、一部お姉様やマダム達には大ウケで、2年1組、ワッフル屋さんは大忙しだ。



「結城君、こっちの飾り付けも頼んでいい?」

「うん!どんどん持って来て!」

 ぼくは必至の形相でアイスや果物、チョコにメープルシロップ、様々な飾り付けを各ワッフルにしていくが、焼いているみんなも必死の形相。

 追いつかないかも…。

 ぼくのこんな感想をよそに、「皿!!」「苺が足りない!」など、厨房の中で怒声が木霊してゆく。



「「「ふぅーーー」」」

 皆、一斉に息をつくが、その中にはぼくも含まれていて、4時くらいになるとやっと落ち着いてきた。

 休憩などはさむことなく、開店と同時に戦場と化した厨房で働き、昼、3時のおやつとワッフル屋さんは大賑わい。

 委員長は、その様子に小躍りせんばかりに喜んでいたが、あまりの忙しさに目が少しうつろになっていた。

 文化祭3日目は最終日ということもあり、一般客は5時まで。あと、1時間みんな頑張ろう!と、委員長は声を上げるが、皆ちょっと不満顔。

 その理由は、休憩時間が長く取れないため他のクラスの出し物に行けなかったことだが、これは委員長の責任ではないし、仕方がない諦めよう。

 そうこうしているうちに、表方からざわめきとも言えない声が聞こえ来た。

 何か問題ごと?

 委員長がぼくの顔を見るけど、今日のぼくは表方では使い物にならないので、首を振ると同時にスイちゃんがやけに慌てて飛び込んでくる。



「結城!結城のお父さんが来ています!」

「えっ!?」

 そんな話聞いてないよ!あまりにもビックリして一瞬硬直するが、ざわめきの声を拾ってみると。

「す、すごい!結城君、大人バージョン!」

「結城君より背が高いけど、似ているねー」

「か、かっこいい!それに比べて俺の親は………」

 本当に父さんが来ているみたい…。



 成長期を迎えてから、だんだん似てくるぼくと父さん。

 父さんは、背は高く垂れ目で男前な容姿をしていて、どちらかといえば兄ちゃんのほうが似ているが、ぼくも成長期を迎えちょっとずつ似ていると言われることが多くなった。

 嬉しいような………嬉しくないような(過去を思い出すと)、複雑な気持ちになってしまう、ぼく。

 と、ここで考えふけている場合じゃない!ぼくはスイちゃんの案内のもと父の元に訪れるが、そこには父さん以外の人物もいた訳で…。


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あきゅろす。
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