男前なんかじゃない!!2
059.文化祭1日目。bQ
そんなこんなで、可愛い系の子達(男子生徒)が、少なくなった頃にウエイターをして、休憩を入れつつ頑張っていた時、突然、北瀬くんが卓磨先輩を連れて現れました。
「一乗寺先輩、生徒会室に―――」
どうも緊急事態のようだ。
北瀬くんを見るとキツイ目元が尚更、キッと吊り上っている状態で怖さがいつもりプラスαされて迫力満点。
それでも目線が合えば、ちゃんと北瀬くんはわずかに頭を下げるし………本当は北瀬くん良い子なのかも?なんて、最近ぼくは思っていたりします。
スイちゃんも北瀬くんと卓磨先輩に気付いて、一緒に向かうと、カイリくんだけ呼び出されているみたい。
「私も一緒に向かいますか?」
スイちゃんの言葉に北瀬くんの目が鋭くなるが、一度首を振り断る旨を伝える。
ぼくは、はじめっから仲谷くんに嫌われているから生徒会室に向かうことはできないけど、なんでスイちゃんは断られているんだろ?
スイちゃんもそれが不思議そうで、ぼくと顔を合わせていると、北瀬くんがポツリ、ポツリッと理由を話し始める。
「奥村、昨日バスケ部のレギュラー落ちした。それを副会長になったからだと思っていて、いつもより力を入れている。…けど、葉山先輩のようにいかなくて…それで、そんな状態の奥村の側に葉山先輩を呼ぶには…」
そっか、忙しすぎてバスケ部のレギュラー落ちしたんだ、奥村くん。それは哀しいよね…。
きっと、今まで学問とスポーツを両立していただけにプライドも傷ついているのだろう。
スイちゃんが副会長をしていた時は完璧で、今きっとその当時を比べられて、力が入り過ぎているんだろうなー。
「副会長…と、今は違うな。葉山君、今回は俺が奥村のフォローに回るし、カイリも手伝わせる。それで、クラスのカイリの仕事は、結城君と葉山君が―――」
「はい!卓磨先輩、ぼく、カイリくんの分まで頑張ります!…でも、卓磨先輩も時間があったら食べに来て下さいね!」
卓磨先輩が最後に言おうとしたことをさっして、元気に手を上げて宣言すると、卓磨先輩は吹き出しそうに笑い、「ああ」って頷いてくれました。
「それじゃ、面倒だけど生徒会行ってくるわ。委員長にも言っておいてくれ。それと、宗次郎、頑張るのはいいけど気絶するまで頑張るなよ」
ぼくの額をコツンと手の甲で軽く叩き笑っている、カイリくん。
笑っているけど、ぼくより頑張らなければならないのはカイリくん達のほうだ。大丈夫かな?
北瀬くんに視線を送ると珍しく眉を下げている姿が見えて、よけい生徒会が大変であることがわかって、心配しつつも3人のうしろ姿を見守ることしかできなかった。
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