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男前なんかじゃない!!2
057.新生徒会。

 そうしているうちに文化祭は目前で………あるはず、だよね。

「一乗寺君!ここっ!ここのところの計算がって言うか、業者がどうしてもこの見積もりじゃダメだって!!」

 2年1組の教室で、半泣きになりつつ話しをしいるのは、ぼくではなく、新生徒会会計の新沼くん。

 数学はたしかにぼくよりも成績が上だけど、慣れない会計職にカイリくんに教えてもらっているみたい…。

 それはカイリくんだけではなくて、スイちゃんを見ると。

「葉山先輩、この運営について美化委員と相談したのですが―――」

 うん、いつもは爽やかな奥村くんが必死の形相でスイちゃんに質問しています。

 奥村くんはこの頃すごく忙しくて、バスケ部にも顔を出せてないみたい。

 スポーツマンだし体力に自信はあると思うけど、顔色が悪いし目にクマを数頭も飼っている状態で、寝ていないことが明らかにわかる。



 何となく生徒会の機能が、うまく回ってない状況に見えるんだよね。

 どうしてだろう?………なんて、思ったりしないよ。ここに原因が居座っているからね。

「翠!オレが会いに来たんだから、聡ばかりとしゃべってないでオレとも話せよ!」

 ぼくは奥村くんが一生懸命スイちゃんに質問しているので、邪魔しちゃいけないと思っているけど、仲谷くんは一味違うみたい。

 それにしても、ちゃんと仲谷くんは会長として仕事をしているのかな?ぼくに質問してくることもないし、て、それはないか。

 それでも、書記である石井兄弟ですら卓磨先輩に色々聞きにいっている訳だし、仲谷くんもぼく以外の前生徒会役員にちゃんと話を聞いて仕事してればいいけど…。

 リコールの時、前の学園で生徒会のお手伝いしていると言っていた仲谷くんだから、もしかして、ぼくが見てないだけでちゃんとしているのかも知れないけど………うーん、でも、ちゃんとしているのか心配。



 思わずぼくが、じぃーと仲谷くんを見つめていると、さすがに気を悪くしたのか、仲谷くんが怒りだす。

「な、何だよ!翠の恋人だからっていい気になっているなよ!今はオレが会長だし、そのうち翠はオレの恋人になるんだから!」

 この発言も毎回だけど、ぼくも周りにいるクラスメイトも「それはない!」て、顔をするだけだ。



 スイちゃんを信用しているし、ぼくもスイちゃんが大好きだから、そんなことにはなりません!

 でも、口に出して言うと仲谷くんが教室で暴れられた前科があるので、心の中だけに留める。

 あれは酷かった。仲谷くんは、生徒会会長としてキレまくるので誰も手が出せなくて、さすがのカイリくんも苦肉の策として、真弓先輩をケータイで呼び出したもんね。



 文化祭の準備をしているはずの2年1組の教室は、最近こんな感じです。


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あきゅろす。
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