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男前なんかじゃない!!2
056.ワッフル屋さん。

 文化祭は3日あって、1、2日目は学園の生徒だけ、3日目は自由日となってこの日ばかりは、老若男女が押しかけてくる…要するにぼくにとっての悪魔の日と覚えてくれればいい。



 ぼくのクラスの出し物は、ワッフル屋さん。

 これを提案したのは、ぼく。

 ワッフルなら焼いて飾り付けをすればいいだけだし、男子生徒でも簡単に作れると思ったんだけど………予想外なことがあとから発覚する。



「客に対応するウエイターの表方とワッフルを焼いて飾り付けをする裏方を決めるぞ!」

 委員長さんの言葉に皆それぞれ希望を言っていくのだが、ここで悪魔の声が。

「あっと、顔の良い奴は表方だから………結城君、葉山君、一乗寺君はウエイター決定な!」

 この言葉を聞いた瞬間ぼくは眩暈に襲われるのだが、薄れる意識の中でも絶叫は、忘れていなかったようで、「そんなのイヤ〜〜〜!!」って、声はしっかり上げていたようだ。←スイちゃん情報。

 それでも、スイちゃんのおかけで自由日だけは、裏方を許されていたので安心することができた。



 表方の衣装は、ウエイターをするので、清潔感ある格好のはずがなぜかヒツジ…ではなく、執事の恰好。

 白と黒の衣装はさすがにビックリだったけど、手袋をはめているスイちゃんとカイリくんはかっこよくて、思わず。

「すごいねー。スイちゃんもカイリくんもかっこいいですー」

 なんて、呟いていたら、カイリくんから「お前もなっ」って、言葉をいただきました。

 スイちゃんを見ると珍しく目元をうっすら赤くして、「結城をみんなに見せるのがもったいないです」て、なぜかそんな独占欲的お言葉をいただいて…。

 うーん、一応、ぼくも鏡で自分の姿を見て見たけど、これなら、父さんとか兄ちゃんのほうが似合いそうとしか思えず、自分の評価はダメダメだなーって思っていたんだけどなぁー。

 でもね、ぼく等3人が並ぶと圧巻らしくて、素でクラスメイト達はその場に固まり、あんぐり口を開けて放心していました。

 あと表方のぼく等は、接待の仕方を覚える予定だったんだけど、予定は変更されそれぞれ独自で対応することが決まって…て、ぼくはって?

 何でも素で行けーーー!!って、意見と、もう一度『クールキャラ』が見たいなんて意見も出て、午前と午後に性格入れ替えになりました。



 で、気分良くしたぼくは、気になる裏方に顔を出してみた。

 しかし、ぼくは一瞬違う意味で眩暈がしそうな出来事があって…思い出したくないですが、せ、説明させていただきます。



 まずは、この言葉から。

「ぎゃ〜〜〜!!粉、いや、焦げるーーー!」

「うわ〜!まて、クリーム!…て、これなんなんだよ!!」

 教室に木霊する悲鳴…。

 悲鳴を上げているのは、裏方要員のワッフルを作る生徒だけど、ワッフルメーカーは電気のためそれほど難しくないはずなのにどうしたんだろう?

 不思議に思い近づくと、そこは地獄絵図というか奇怪な食べ物が山のように積まれていた。

 これって何?

 ガチガチレンガのようなワッフルをはじめ、ドロドロのスライムのようなワッフル。

 そして、ワッフルはともかく飾り付けのクリームが紫のような?色になっている悪魔の食べ物をはじめ、奇怪な模様のはいったワッフル。

 ワッフルって、おいしい食べ物だったよね?

「………(誰が食べるんだろう?)」

 ぼくの思いとは裏腹に爽やかに汗をぬぐっている、裏方担当の委員長さん。

 あまりの惨事に、突っ込まずにはいられなかった。

「委員長さん、生地はちゃんとぼくの指示どおりの分量ですか?それと飾り付けの生クリームは練習が必要だ!苺なのどの果物はきれいに盛り付けて、アイスなどは溶ける感じがいいので熱いうちに盛りつける。あと―――」

 ちょっとキレちゃって際限なく指示を出していたら、委員長の顔付きが変わる。てか、裏方組のみんなも何かメモ片手に集まって来ていた。

 その後、ぼくが総料理長としてみんなにスパルタでワッフルの作り方を教えたのは、言うまでもない。

 本当は丁寧に教えたかったけど、時間がないからね。



 スイちゃんやカイリくん曰く、ぼくのスパルタは素でクールキャラになっていたらしいけど、そんな感じでもみんなよくついて来てくれた気がします。

 みんなお疲れ様、本番では一緒に頑張ろうね!


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