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男前なんかじゃない!!2
053.超多忙。

 夏休みは引っ越し…これは、以前から決められていたことだけど、それにもまして忙しい、ぼく。

 生徒会会長を降りたぼくの日程表が真っ黒になるくらい予定がきっきりだった。

 ぼくの家にスイちゃんと帰る。

 スイちゃんの家に遊びに行く。

 うっちゃんとさっくんの家にスイちゃんと遊びに行く。←何気に受験生なのに遊びに行ってもいいのか?

 卓磨先輩も受験生だから遊ぶなんてこと言わないだろうって、思っていたら寮内でたまにはお茶しませんか?って、誘われて。

 カイリくんは、自分の家の会社運営の手伝いをしているので、ぼくより多忙であるはずなのに、パーティーに来ないかと誘われた。

 パーティーには女性がいるので行けなかったけど、なぜか自宅に遊びに来ないかって何回も誘われる。

 けど………なぜか父さんに「一乗寺家の家に行くことを禁ずる」て、メールが届いて?理由はわからないけど、カイリくんにその話をしたら、なぜか嬉しそうに「良かった…」ってホッとした表情を浮かべていた。

 どういう意味なんだろ?



 で、今日はっというと、真弓先輩にお呼ばれしていたりします。

 はかま姿の真弓先輩、金髪に違和感があるけど弓を持っている姿は、うーん、かっこいいです。

 はい、ここがどこだがわかりますか?

 実は、弓道部の道場だったりします!

 真弓先輩は弓道部に所属していたのに風紀委員で忙しく、ほとんど活動はしてなかったみたい。

 それに弓道部は、良人先輩が無理やり入れたみたいで、その理由も。

「弓、お前風紀委員長のくせにすぐに熱くなってキレる。そんなことじゃ、他の生徒に示しがつかない。よって精神を鍛えるために弓道部に入れ!」

 なんて言われて無理やり、弓を持たされたみたい。

 でも、真弓先輩は弓道部に入れられた理由は、そんな正統性の理由じゃないと力説していて。

「…喧嘩でキレて仲間を間違ってボコッた罰で、当時一番怖いと恐れられていた弓道部の部長に良人は俺を売った」

 真弓先輩は当時を思い出してか若干青い顔をしていたけど、うーーーん、まっ、どっちでもいいよね。精神を鍛えるためと思えば…。



 弓を張り、見つめる先の標的………すっと足を引く様子も見とれます。

 これが真弓先輩の引退式。

 そう、真弓先輩が決めたって言っていた。

 金髪の頭で不良風の真弓先輩は正式な試合には出たことはない…けど、その矢が刺さる場所は中央がほとんどで、案外真剣にやっていたらいい成績が取れたのかも知れないなーなどと考えていた。

 こんな大事な引退式なのに部員は誰もいなくて、ぼくだけ…。でも、これは真弓先輩が決めたこと…。

 最後の姿をぼくに見て欲しい。真剣に言われた言葉であるけど、次の続く言葉は目元を赤くしている真弓先輩で、思わず、微笑んでしまってぼくは頷く。

「本当は引退式なんて照れるからやらたくねーが、けじめだしな。だから宗次郎は引退式の承認をしろよ」


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