男前なんかじゃない!!2
050.振り返る。bP
リコールが正式に起こるまで、生徒会室に閉じこもっていた、ぼく。
ズルい!説明をちゃんとしろ!!とか、言われそうだけど、ぼくにも時間が必要だった。
説明、謝罪………言い訳がましいけど、ちゃんとしなくてはと思っていた。
そして、リコールの数が集まると同時に集会を開く。
これは、風紀委員が開催するものであって、この時のぼくは説明なんてことより、心の底からちゃんと謝りたいという思いでいっぱいだった。
カイリくん、卓磨先輩、うっちゃん、さっくん、ぼくを心配そうに見つめる。
「大丈夫。みんなにいっぱい勇気とか強さとか………ううん、そんなんじゃ足りないくらい色々なものをもらったよ。だから、ちゃんと最後まで会長でいるね」
「宗次郎」「会長」「「ソウちゃん☆★」」
ぼくは何も言わず手を握りしめて、スイちゃんに笑みを浮かべる。スイちゃんからもたくさんたくさん色々もらった。
ありがとう。
スイちゃんはぼくの笑みに握る手を強め、「何があっても一緒です」って…。うーん、やっぱりスイちゃんはかっこいいです。
ステージに上がる時はさすがに緊張して、足が震える。
見つめる視線の全てが怖くて………何度も自分の足に躓きそうになる。でも、そこで声が上がって。
「結城様、頑張って!」
「結城会長、頑張れ!」
ステージ上から見ると、声を張り上げているのは以前助けたことのある望ちゃんと寛治くん。
思わず、キョトンという表情をすると、今度はぼくの親衛隊隊長であるヨシくんの頑張れコール。そして次々声が上がって…。
それは廃部寸前まで追い込まれていた漫画研究部であったり、ちょっと気弱な集まりであった茶道部であったり…。
あぁー、ぼく、少しでもこの学園で役に立てていたんだー。嬉しくて、嬉しくて涙が溢れる。
「あ、ありがとう…。今まで会長をしていて良かった。ぼくの部屋のことでみんなを驚かせてごめんなさい。本当は、ぼくの性格はこんな感じで………ごめんなさい。言い訳になると思うけど、ぼくある病気に掛っていて、そのため性格を変えて過ごしてしました」
趣味のこともさることながら、ぼくのこの口調にビックリの生徒の顔が見える。でも、ここでちゃんと謝らないと、ぼくは頭を何度も下げる。
「みんな大好きです。一生懸命、お花に水をやる美化部員。困ったことがあると、そっと手を差し伸べている各クラスの学級委員長。頭が真っ赤で制服も着崩しているのに、風紀委員を見るといつもどこか楽しいそうにしている生徒も、みんな、みんな大好きで…」
自然と笑顔になる。ぐるっとステージ上からみんなを見ると、あっ、あの子はこんなことしていたなーとか、思ってみたりする。
四ツ谷学園の生徒はみんな良い子で…。ぼくはこんな中で、生徒会会長をしていたんだって改めて嬉しくて…。
「今まで本当にありがとうございまいました。今度は、一生徒としてみんなと接することになりますが、こんなぼくだけど、みんなの信用を取り戻すためにがんばって、みんなと友達になれるように努力します!」
最後になぜか一粒涙がこぼれたけど、こんなぼくにその後、拍手をしてくれる生徒が何人もいて、みんながやさしくて心が温かくなって、ステージに降りると同時にスイちゃんに人目もはばからず抱きついて泣いてしまった。
この演説が、みんなの前で行う会長職の最後の仕事となった。
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