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男前なんかじゃない!!2
049.夏休みの引っ越し。

「さすがに一般生徒の寮になると―――」

「狭いねー」

 スイちゃんの言葉にぼくは重ねる。

 約10か月間生徒会役員として、ゴージャスな広い部屋を与えられていたため、そのような意見を言うが、それはそれで嬉しいことで…。

 思わず、スイちゃんと額を合わせてクスクス笑い合う。



 生徒会役員を降されていたが、部屋は夏休みに引っ越すことになっていた。

 3年生は1人部屋だが1、2年は2人部屋だ。

 3年生である卓磨先輩は、1人部屋に大人しく入ったが、やはり、うっちゃんとさっくんは嫌がり(※2人は生徒会役員の部屋でも一緒の部屋だった)、結局1、2年生と同じく2人部屋に入った。

 で、それをいいことにカイリくんは、うっちゃんとさっくんの部屋を交換し1人部屋を確保したようだ。

 まぁ、お互い意見がかみ合ったので良かったということだろう。



 そして、ぼくとスイちゃんはもちろん相部屋ですぅ〜。

 生徒会役員の部屋の時もどちらかの部屋で一緒に寝ていたけど………うん、相部屋って言うのも何となくラブラブっぽくていいよね。

 リビングは、スイちゃんの部屋仕様にするかぼくの乙女部屋仕様にするか迷ったんだけど、スイちゃんが。

「リビングは、結城の部屋の時のように楽しい感じがいいです。全て持ち込むのは…ちょっと広さ的に無理ですけど、パッチワークのクッションは私も気に入っていますしね」

 この言葉でリビングは、ぼくの乙女部屋仕様に決まりました。

 あと、個室の一つを寝室にして、もう一つの個室は勉強部屋。

 あ、寝室のほうはスイちゃん仕様でシンプルだけど、2体のテディベアが仲良く並んでいる姿にぼく等は大満足。

 勉強部屋は、それぞれの趣味で半々くらい。でも、椅子に手作りのパッチワークの座布団を乗せたらスイちゃんが笑っていたけどね。



 楽しい………ぼくの乙女キャラがバレて、みんなに平謝りした日から辛い日々が始まると思っていたけど、そんなことにはならなくて…。

 こんなことなら早くみんなに打ち明ければ良かったと思った。



「結城、何を考えているんですか?」

 引っ越し途中なのに手の止まったぼくを心配げに見つめるスイちゃん。

 ぼくはニッコリ笑って、あの日からの日々をぼくなりに話し始めた。

 こんな風に話せるんて思ってもいなかったんだ。本当なら、みんなに嫌われていじめられて…なんてことも考えていたから…。


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